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「・・・ほらほら翔太くん、座って。まだ先生のお話終わってないわよ」
ふらふらっと立ち上がって冷蔵庫に向かったしょーたくんに向かい、あこ先生がぴしっと注意した。
へ~い、大きな指輪がたくさん付いた手を挙げ、しょーたくんは面倒くさそうにお返事して席にと戻る。
授業が全部終わり、帰りの会の時間。
宿題のお話や、おうちの人に渡さなきゃいけない大切なお手紙のお話をして『さようなら』のご挨拶をしたら解散…なんだけどぉ・・・
金曜日はいつも先生からの連絡が多くって、普段よりちょっと帰りの会が長引いちゃうんだ。
土曜日、日曜日とお休みを挟むから、先生たちはみんなのことが心配でどうしてもお話が長くなっちゃうんだって。
あこ先生はしょーたくんが無事に席に着いたのを確認してからまたお話を始め、ボクはそれと同時に一旦は机代わりの大きなテーブルに置いていた鉛筆を再び握り締め、連絡ノートに向かった。
ボクは忘れん坊だから、先生のお話をノートにメモしておかなきゃいけないの。
しっかりメモしておけば、いくら忘れん坊のボクでも廣瀬さんに伝えなくちゃならない大切な事をちゃんと思い出せるでしょ?
「最近ずいぶんと暖かい日が続いていますね・・・それはとっても良いことなんだけど、暖かくなり始めた今の時期からみんなにはぜひ、注意して欲しいことがあるの。
何か分かるかな?」
し~んと静まりかえったお部屋をあこ先生が見回した。
本当はここで『はい』ってかっこよく手を挙げたい所なんだけど・・・ボクにはあこ先生が出したクイズの答えが全然分からない。
ほぉら、あこ先生はきょろきょろお部屋を見渡して、誰かが答えてくれるのを待ってるよ。
鉛筆を持ったままボクはしばらく考え込む。
『あったかい』・・・から考えつくのは、廣瀬さんの大好きな夏。
『夏』から思いつくのは、眩しいお日様でしょ。
それから・・・それから・・・
冷たくって美味しい渦巻き巻きのアイスクリームに、ボクはちょびっと苦手だけどプール。
去年虫取り網を持ってみのりくんと2人で野原を駆け回ったのはとっても楽しかったなぁ。
あの時はたくさん走り回っていっぱい汗をかいたから、すっごく喉が乾いちゃったんだ。
・・・・・あっ・・・・・
ボクはお部屋の中をぐるりと一周見回し、誰も手を挙げる様子がないことを確かめてから鉛筆を置きゆっくりと手を挙げた。
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