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出逢い 2
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坂道を下り、少し歩くと大きな通りに出た。
車が、高速で走っている。
『奈っちゃん、車は奈っちゃんが小さくて見えないから、急に飛び出したら危ないからね』
よく両親と兄から、そう聞かされていた。
(車、危ない…。こっちに行こう!)
大きな通りを横断せずに、左に曲がる。
車の中から、見た事のある風景が並んでいて奈都の気が大きくなっていた。
(楽しい♪♪)
ふんふんっと、鼻歌を歌っていると後ろから声をかけられた。
「おい!」
しかし、奈都は自分じゃないと思っているので振り返らない。
「おい!!フリフリスカート!お前のことだよ!!」
「…」
フリフリスカート…確かに、自分は履いている。
立ち止まって、恐る恐る振り返るといじめっ子のノブがいた。
「っ!!」
奈都の顔が、一気に青ざめる。
林 信彦(はやし のぶひこ)は奈都の同級生で、奈都のことをよくいじめるいじめっ子だ。
(ノ、ノブに見つかった!!)
スカートの格好を今まで見られたことはないが、奈都は逃げるように後退りする。
「ま、待て!お前…名前は?」
いつもと違って、何となく他人行儀なノブだったが、奈都は恐怖で気づかなかった。
むしろ、悪い方にしか考えつかない。
(…何で、名前!?こ、怖いよ…)
ハッと閃いた。
(も、もしかして…名乗らせて、『奈都は女の格好をしてんだぞ~!俺さぁ名前、聞いたんだ!!』って、みんなに言うんだ!!)
ガキ大将が言う発言力は、効果大だ。
奈都の嫌いな虫を、ノブの手下達が探していたのを知っている。
(ノブ、嫌い!)
奈都は慌てて、走り出した。
「待て~!」
(追って来ないでよ!怖い!怖い!!)
意地悪されると、奈都はいつも走って逃げていた。
ノブの大きな体格に勝てるのは、足が速いことだけ。
「ま、待て…待てよ…。俺は、信彦って言って…」
ノブは息を切らして、ヘトヘトになっている。
どうやら、ノブは奈都だと知らずに可愛いから声をかけただけだった…らしい。
しかし、奈都には聞こえていない。
後ろを振り返らない奈都はノブを引き離し、知らない隣町に来てしまった。
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