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出逢い 6
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そして、奈都から朔馬の首に抱きついてきた。
たったコレだけのことなのに、暖かな気持ちになる。
朔馬は、胸がキュンッとなった。
可愛いとか、泣き止んで欲しいとか、小さな身体で頑張っているなとか、守ってあげたいとか、色々な事を考えてしまう。
(…俺が今までわからなかった、初めての感情だ)
朔馬に兄弟はいない。
そして、両親は離婚をしていた。
母親に引き取られた朔馬だったが、母親は家に帰ってこない。
だから家に帰っても誰もいないし、何より母親が帰ってくる時は毎回違う男を連れて帰ってくる。
『家族』って何なんだろう。
大切にしてもらった事も、心配された事もない。
だけど奈都からは家族に大切にされているということが、ひしひしと感じた。
今、奈都の家族は必死に奈都を探しているのかもしれない。
「…奈っちゃん、ほら肩に乗れ」
そう言うと、朔馬はしゃがんだ状態で後ろを向いた。
「名前!呼んでくれた!」
嬉しそうに、ぱふんっと背中に抱きつかれた。
「違う、肩だって…。足上げて」
朔馬に言われて、恐る恐る奈都は右足を上げた。
「俺の頭に手を置いて、そう、もう片方の足は
こっち」
「わ、わーっ!」
グラッと体勢が揺れたが、朔馬の頭にしがみついて奈都は踏ん張った。
そして、目の前の景色に感動していた。
「すごいね!高~い♪♪」
歓声があがると、こっちまで嬉しくなる。
「親父さんはしてくれないのか?」
「パパ…違った、おとーしゃんは抱っこしかしてくれないの。髭が痛くて嫌なのに~」
母親は『ママさん』で、父親は『おとうさん』らしい。
「…髭ね」
「痛いのに、じょりじょりするからパパ言うの辞めたの。すぐ、つけあがるから良くない」
家族の誰かの口まねなのか、言う言葉が年相応じゃないから、なんだか可笑しい。
そして、父親に対して手厳しい。
「仕方ないだろ。奈っちゃんは可愛いから」
奈都を乗せて歩き出しながら、朔馬が言う。
「…朔馬に言われたら、『可愛い』は嬉しい!」
えへへっと、頭の上から照れた声が聞こえてなんだかこっちまで照れてきた。
(柄にもないことを、言うもんじゃないな…)
そう思っていると、奈都が声を上げた。
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