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「…あの、部屋入るんでどいてもらえますか」
男の顔は至って真剣だった。
真剣だったからこそ 危険を感じた。
だって僕は男だ。
男とどうこうなろうなんて
生まれてこの方考えたことなどない。
「ほんとに…困るんですって」
一歩たりとも動こうとしない男は
そっと僕の肩に手を置いて小さく口を開いた。
「痛い思い…させないから」
必死な姿にふと昔の自分を思い出す。
何をするにしても凡人並みで、得意なものなんてなくて。
それでも真面目に、一生懸命に生きてきた。
そうすればいつか報われると信じてた。
でも、違ってた。
“普通”の人は“普通”に生きるしかない。
磨けば光る原石など 初めから持ち合わせていない。
それに気がついた瞬間、
僕の心に生まれたのは大きな絶望と解放感だった。
“普通”の人なら“普通”に生きればいい。
それだけのことだった。
だから正直 面倒事には巻き込まれたくない。
「なんで僕なんですか」
夜風に金色の髪が揺れる。
嫌味なほど整った顔から目を離し、
風で飛んでいく枯葉を目で追った。
「だって 俺の声、聞こえるんだろ」
だから何だっていうんだ、そう言おうと男を見上げた瞬間。
「っ……ん…、…」
大きな手に顎を掴まれるのを感じ 思わず目を瞑ると、
次に目を開けた時 目の前にはあの男の顔があり、慌てて離れようとする。
しかし顎は手で、背中は逞しい腕で抑えられていて、それを許してくれない。
キスをされていることに気がつく頃には
すでに彼の舌は僕の口内に侵入していた。
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