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「そんなに嫌か?」
柴田の背中を見送りながら、さも不思議そうに緒方さんは首を傾げた。
「まぁ、長距離も走れるような体力の持ち主の緒方さんには分からないですね」
ふーん、と緒方さんはみそ汁を掻き込んだ。
「昨日寝れた?」
周りには聞こえないようにと気遣かったかのような、少し小さな声に箸が止まる。
「…部活に支障が出ないほどには」
「なら良かった!」
元に戻った声の大きさにほっとする。
次の瞬間
「俺は幸せな気分で安らかに眠れたぞ」
そう耳元で囁かれ、バッと緒方さんを見る。
「ちと寝坊したけどな」
にっと笑った。
「秋月?耳押さえてどうした?」
いつの間にか戻ってきていた岡田が、椅子を引きながら言った。
「え?」
無意識のうちに、囁かれた耳に手をあてていたらしい。
「いや、何でもないよ」
心臓がいつもより音を立てていることに気づく。
視線を感じて横を向くと、緒方さんがニヤリと笑い、唇の端を舐めた。
(夢じゃ…ない…)
途端唇にじんわりと熱が広がった気がして、慌ててご飯を口に運ぶ。
岡田と柴田が不思議そうにこちらを見ていたが、気づかないふりを続けた。
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