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Oldday's番外編
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(Oldday'sに書ききれなかった、竜也と京の物語です…┏○))ペコリ。しかも、また長くなってしまいましたヾ(゚д゚;))
雪の舞い散る夜。
街中ではジングルベルが流れ、カップルや家族連れが身を寄せ合い、煌びやかなイルミネーションに頬を緩ませる。
今日は、クリスマスイブ。
誰もが楽しい一時を胸に抱き、大切な人へ想いを馳せる。
例えば、ほら。
彼らだって、ね…………。
「京ぉ〜っ!なぁ、見てやー。このケーキ、めっちゃ美味そう♪」
「ぁあー?どれがぁー?」
ケーキ屋さんのショーウィンドウ。
大きなツリーの横に特設されたケースに並ぶ、真っ赤な苺がアクセントのクリスマスケーキ。
朗らかな店員さんの見ている先に、異端児発見。
キラキラした美しい瞳と、端整な顔立ち。
笑顔が眩いばかりの竜也の姿。
可愛い。
竜也の無邪気さときたら、その辺の厚化粧な女なんか目に入らない。
そりゃ、さすがの京之介も、アッサリ言うわ。
「好きなん選べ……………なんぼでも買うたるわ」
「ぅおおーっ!!マジかっ………京、大好きぃ♡」
せやろ、せやろ…………それ、もっと言うてくれ。
クリスマスに野郎二人?
最高じゃねーか。
今更だが、彼女もいない竜也と京之介は、クリスマスも二人で過ごす。
並んで街を歩けば、カップルでさえ振り返る、とにかく目立つイケメンコンビ。
恋人がいないのが勿体無いような彼らは、これから竜也のおんぼろアパートで小さなクリスマス。
京之介の手には、まだ熱々のチキンとピザ。
竜也は、おねだりした大きなケーキ。
ルンルン気分で帰路を急ぐ。
ドカッ…………………!!
「っわ……………あーーーっ!!」
「竜也?どないしたん…………」
突然、路上に響く叫び声。
前を歩いていた京之介は、慌てて後ろへ目をやり固まった。
「痛ぇのぉっ!!ガキがァッ…………どこ見て歩いとんじゃぁ!!」
通行人達も思わず逃げる、黒い塊。
見るからにソッチ系の男達が数人、竜也を囲んでる。
「俺のケーキがぁぁぁっ!!」
当人、我関せず。
ただただ、アスファルトへ転がるケーキを見つめ、嘆いてる。
どうやら、歩いていたら身体がぶつかった、らしい?
京之介なりに解釈は出来た。
「おい、竜也……………大丈夫か?」
「京ぉ………………ケーキ、潰れたぁ」
外野はさておき、京之介は直ぐ様竜也に駆け寄った。
外野は、さておき。
さておかれた外野は、当然怒り狂ってる。
「お前ら、何無視しとんねん!!ワシらを誰やと思うとんなっ!スーツ、弁償せぇやァっ!」
190はあろうかと言う巨漢が、大して汚れもしてないジャケットを指差し、怒鳴り上げた。
所謂、イチャモン。
クリスマスの浮かれた気持ちを突き落とすように、悪巧み。
仲間だろうか、側に立つ三人ほどのヤクザ達も、ニヤニヤ顔を緩ませ経過を見守る。
幾らぶんだくる?
一見隙だらけに見えた竜也が、暇潰しのターゲットになったのだ。
だが、見つけた標的が悪かった。
ドガァァァァ………………ッ!!!
「ぐは………ぁ…………っ」
「何ィィ………………!?」
巨体、仲間達の目の前を見事な跳躍で飛んでった。
「コラ、てめ…………竜也に謝れ。そして、ケーキを買え」
こいつら、何か言いました?
どんなイチャモンも、全く耳に入ってなかったね。
竜也の嘆きを見た瞬間、京之介にスイッチ入りました。
巨漢の腹に回し蹴りを食らわし、その倒れた身体の喉元を、靴の裏で思いっ切り踏んでいる。
「ぅが…………ぁ…あぐ……っ」
「ああぁ?聞こえねぇなァ!ええ歳こいて、謝罪の言葉も知らんのかァっ!!」
見下ろすガキの恐いこと。
毎度の事だが、最早どっちがヤクザかわからない。
「おっ………お前ぇっ!!何やっとんじゃっ!そないな真似して………」
ガシッ…………………
「そないな真似が、何や……………食いもん粗末にして、ただじゃ済まさへんぞ」
「ひっ………………」
今度は、京之介を止めようとしたヤクザが、青ざめる。
踏み出した足が、動かない。
一歩出た途端、竜也が胸ぐらを掴み、鋭い眼差しでこちらを睨んでた。
しかも、心なしか足が浮いてきた。
竜也の片腕が、ヤクザの首を締め上げ、身体をも持っていこうとする。
なんて、パワーか。
「な…………だ、誰やこのガキども…………」
他の二人も、愕然と立ち竦んだ。
「お前ら、わかっとんか!……………俺らは、ここいらを牛耳る白洲……」
「止めといた方がええですよ……………そいつ、ヤバいガキやさかい」
突如現れた、援軍?
狼狽える集団の背後から、いきなり低い声が入り込む。
「はああ!?それ、どういう意味や………っ」
「知りませんか?ヤクザ、何人も潰しとるガキです。一旦キレたら、手ぇつけられませんよって。それに……………噂やと、既に竜童会から目ぇかけられとるとか…………ヘタしたら、敵一気に増えるんちゃいますか」
「り、竜童会…………っ」
竜童会。
淡々とした口調でガキの説明をする人影に、わかりやすいほど動揺していくヤクザ達。
ホンマか、それぇ…………っ!!
こんなイチャモンごときで事を荒立てたら、大目玉ではないか。
ぼったくり、どこいった。
裏社会の難しい構図に、悪巧みの勢いは瞬く間に消え失せる。
「い、命拾いしたな…………っ」
命拾いした?
捨て台詞を吐き、逃げ去るヤクザほど情けないものはない。
どっちがだ。
先輩達の情けない様子に、立ち去る援軍の冷めた目。
昔から変わらない、冷酷さ。
それの背中を見ながら、竜也は僅かに首を傾げた。
あいつ、どこかで………………。
どこかで。
そう。
これから先、竜也の極道人生に構える、最大のライバル。
上地丈一郎。
竜也よりも早くヤクザになっていた上地が、偶然通りかかったシマで見かけたトラブル。
すぐに、竜也だとわかった。
賑やかさと、輝く眩しさは他にない。
離れていても、見惚れる美しさに自ずと身体は動いてた。
そして、この時京之介にも出会していたのだが、上地から見て後ろ姿しか見えなかった為に、安道京之介を知る事がなかった。
これが手助けだったかどうかは不明だが、上地は正直に『嵩原竜也』を述べただけ。
対峙している先輩達では、竜也に勝てないと思ったから。
どちらにせよ、上地の一言で大したトラブルにならなかったのは、否めない。
「竜也、新しいケーキ買うか?あいつらには、上手い事逃げられてしもうたしな」
街からの帰り道。
京之介は、竜也に声をかける。
今日は、竜也を喜ばせたくて、お小遣いをたんまり持参した。
まだ、ワンホール買うくらいの余裕はある。
楽しいイブにしたいじゃないか。
「んや、これ食べる。形は崩れたけど、味は落ちてへん……京が買ってくれたんや。大事に食べんとな」
「竜也………………」
ああ、ヤベぇ。
竜也が可愛い過ぎて、キュンとする。
唯一無二の心友。
誰よりも、大切な人。
「アホ……………来年は、もっとデカいの買うたるわ」
「京………………嘘やん、俺期待すんで」
「したらええわ………………来年のイブも、お前と過ごすから」
ケーキを大事そうに抱える竜也の髪へ手を伸ばし、京之介は優しく微笑んだ。
来年のイブ。
結局、これから後竜也は竜童会へ入り、多香子と出会う。
一世一代の大恋愛。
二人だけでイブを過ごせる事は、なくなった。
あれから、十数年。
今宵も、クリスマスイブは訪れる。
あの頃よりも、派手になったイルミネーションが街を輝かせ、人々はより街へ繰り出す。
綺麗なツリーの下、多くの人が待ち合わせに胸踊らせながら、逸る気持ちを抑えてる。
「京………………っ!」
お互いにオヤジになった彼らも、また……………。
「悪い、待たせたな………っ」
「いや、俺も今来たところ………て、大和はどないしたんや」
「ん……………学校のツレらと忘年会やて」
「はあ?イブにか……………!」
「ぷ……………でもまぁ、しゃーない。仲良うしとるみたいやしな」
若い時は、本当に金がなくて、オシャレすら出来なかった毎日。
それが、今や質の良いカシミアコートを羽織り、ダンディな貫禄を放つ。
人混みから現れた竜也に、行き交う人々の目が注がれる。
京之介の自慢の友。
昔から、竜也以上の男に会った事は無い。
「たまには二人もええやろ?大和が産まれてからは、二人きりでイブ過ごされへんかったしな」
「そうやけど………………せっかく大和が来る思うて、プレゼント持参したんやで」
「なんなら、俺貰おうか?プレゼントなんて、この歳になったらなかなか貰う事ないやん」
「アホか。親なら持って帰ったる言うたるんが、普通やろ」
「えぇ……………俺も欲しいぃ」
「あのなぁ………………」
相変わらず、どこか惚けた男前。
憎めないんだな、これが。
ふて腐れる竜也へ持って来た紙袋を手渡し、京之介は呆れながらも笑みを浮かべる。
「40手前でまだ可愛いって、どないやねん」
吐き出すボヤきも、愛がある。
「え?何か言うた?」
「何も………………竜也、今夜はとことん飲むで!覚悟せぇよ」
「おーし!ほな、絶対お前を潰したるからなぁ♪」
「ほざけっ………………負けるかァ!」
竜也も酒に強いが、京之介も相当なもの。
長い長いイブが始まる。
10代の頃を思い出すような、二人だけのイブ。
本当は、京之介だって嬉しかった。
久し振りの二人イブ。
若かれし日々が、懐かしく脳裏を過る。
こんな日は、とびきりのシャンパンで乾杯か。
金に糸目をつけない。
そんな夜が、あってもいい。
(皆様、ありがとうございました(*・ω・)*_ _)罪つくりなお父ちゃんです……京やん、ごめんね。これを書いててつくづく思いました( ノД`)…またold day ' s 番外編入れるかもしれません。その前に、なんて季節ハズレな話(;゚∇゚))
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