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愛される息子
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悩ましい限りである。
血は、争えない。
愛される父の息子もまた、愛される。
「てか、俺かてヤキモチ妬くしぃ…………っ!!」
近所迷惑でしかない時間帯。
お父ちゃん、リビングで叫ぶ。
溜まった疲労が針を振り切り、妙なテンションになる。
「ええい、クソ…………………どんだけフェロモン振り撒くねん、アホたれ」
たかだか17のガキが。
両手に、山代と高橋。
いい男を掴み過ぎだろう。
あんたもな。
どこからともなく、突っ込みたい。
「ん……………………ぅ…………」
ただ、その想い、愛息子には届かず。
大和、僅かに寝返りを打ち、益々夢の中。
無造作に着たスウェットのファスナーから、悩ましい胸板、チラついてます。
胸板。
「………………おい………………それ、OKて意味やんな?」
何が?
「どう見ても、OKやんな?」
いや、だから何が?
「OKやろうっ!!恋人の前で、エロさ丸出ししとんやぞ!OKに決まっとるやんかっ」
考えてみよう。
もう時刻は、午前3時が近い。
我が子の寝姿に、ムラムラと一人戦う、父。
滑稽である。
天下一の組長が、単なる変態に見える。
ギ…………………………
「変態、上等………………………最後は、愛が勝つ」
最早、意味不明。
誰と喧嘩をしてるのか?
ソファに手を突き、愛する息子の身体を下に臨む。
ゴク…………………………
変態組長、可愛い大和の顔へ指を滑らせ、生唾ゴックン。
大好きなぷっくり唇が、やたらとピンク色な所に視界が奪われる。
「………………………ええよな?お前以外とは、一生キスせえへんて決めとんやから……………………」
寝ている大和へ囁くように話しかけ、竜童会一のモテ男はソッと唇を重ねてく。
大切に、ゆっくりと…………………まるで、少しでも強まると脆くも壊れてしまうのではないかと思うほどに、優しく。
さっきまでの変態騒ぎが嘘の様に、嵩原は大和を大事に扱った。
「ヤバい…………………………柔らけぇ……………」
味わった愛しさに、思わず悦びが口をつく。
幸せ。
今日(既に昨日)一日、本当に会いたかった。
疲れたからこそ、余計に会いたくて堪らなかった。
まだ大和の熱の残る唇を軽く噛み、嵩原の綺麗な瞳は細くなる。
頬を微かに赤く染め、一日の疲れが吹っ飛ぶ可愛らしさに、胸が高鳴る。
好きや…………………………。
改めて思い知る感情に、お父ちゃん撃沈。
大和の首筋へ顔を埋め、自分の熱さを隠すように、我が子の温もりを感じる。
「大和………………………お父ちゃん、変態……………」
はい。
好き過ぎて、思考回路が麻痺しそう。
「ん……………………熱…………………ぃ……」
肌に当たる、LOVEな熱。
父親の愛に埋もれ、大和はまだ寝ている身体で、無意識にその背中へ腕を回した。
「親……………………父………………」
「へ………………………」
瞬間、4尺玉花火が頭の中で華開く。
寝とぼけてる大和に、お父ちゃんのハートは鷲掴み。
「あ、あかん……………っ、鼻血出る………………!」
お父ちゃん、男前が台無しよ?
それ位、心臓が爆音ではち切れる寸前です。
だって、今の大和、自分の夢見てる。
嵩原は、真っ赤な顔を咄嗟に片手で覆い、幸せが身体中を突き抜ける感覚に、崩れそうになった。
ガタッ…………………………
「え………………………っ」
もとい、無理な体勢で大和を跨いでいた上に、大和に抱き付かれ、照れ臭さに片手を顔へ持っていったせいで、見事バランスを崩す。
「ぅわ……ぁ……………あ…っ!?」
ガタガタッ……………………バターンッ!!
ソファとテーブルの間に、本当に崩れ落ちる。
「…………………ぃ………………つぅ……」
しかも、大和を傷付けまいと庇った為、テーブルの角で背中をぶつける。
テーブルの角。
なんと立派な凶器だろう。
有無も言わさず、超痛い。
大和を大事そうに抱きしめ、嵩原は背中の痛さに涙を滲ませた。
…………………………愛って、アホやな。
アホなんです、愛って。
でもそれが、また愛しかったりするんです。
今年、(ご存知でしょうが)36歳。
今更のように、愛を学ぶ。
「ぅん……………何…………やねん………………っさいな」
父親の、そんな惚けた愛に気付かず、大和はようやく異変に目を覚ます。
「……………………………ぁあ?」
ですよね。
少しだけ開きかけた目に映る、顔を歪めた………………オヤジ?
自分の下敷きになった父親に、首を傾げる。
「何しとんや………………………親父………………」
大和は、父親の腹に身を起こし、何かに痛がっている様に見えるその姿を、見下ろした。
「何しとんやろ………………俺も、わからん……………」
やってる事が、幼稚くて。
「………………………は?」
でも、そう言う嵩原の手は、しっかり大和の腕を掴む。
「親………………………」
「ただいま…………………大和」
寝起き早々、お父ちゃんの愛に包まれる。
掴んだ腕を引っ張られ、声を漏らすより先に、唇が愛を伝える。
「ん…………………………んぁ…………も………いきなり……」
「ずっと、会いたかったんや………………お前に………」
今度はしっかり、舌、舐めちゃいます。
大和の腰から、スウェットの中へ手を忍ばせながら、たっぷりと口の中を愛撫する。
「………………………高橋の匂い、身体に付けよって………誰の恋人やと思うとんねん……………ざけんなよ」
わかってましたよ、お父ちゃんは。
高橋の匂いって、自分があげた香水ですから。
「ぁ………………あ………ん………………ごめ………」
肌を滑る父親の指先に身体をゾクゾクさせ、大和の全身は、瞬く間に火照っていった。
「親父…………………あ、あんな……………俺、山代に……」
「ん……………………わかっとる……………………わかっとるけど………………………後や、それは……」
後。
でないと、身体がもたない。
「もう…………………限界やから………………」
「げ……………………限界……………………」
「一日頑張ったご褒美…………………………俺にくれ」
俺に。
嵩原は、顔を赤らめる大和を抱き寄せると、再び唇を重ねた。
「ご褒美……………………ええやろ…………………?」
リビングに響く甘い声に、大和の胸はときめく。
「え………………ええに…………………決もうてる…………」
大和も、待っていたもの。
大好きなお父ちゃんが、帰る時を。
「ん………………………ありがとう…………」
やっと……………………やっと、二人きりですからね。
確かめ合った愛は、燃えるばかりです。
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