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「それが御幸とメシを食って……あいつが旨い旨い
っつって、にこにこ笑って、口の端にメシ粒つけてガツガツ食うのを見てたら……オレの腹も、味わう、ってのを思い出した、ってのか……何か食うモノ全部が旨く感じてよ……」
純の眼がやさしく笑っている。
「あーなんか、こういうの、幸せっていうんだなー、オレ、こいつと居て幸せなんだ、って、
アタマじゃなくて心が分かっちまった、って言うか………まあ、そういうコトだ!」
急に言葉を締める。照れ臭くなりすぎたのだろう。目元と口元に余韻が残っている。
これ以上 話すのが勿体ないのかも知れない。
「本当は一番好きなヤツと生きていければ最高なんだろうけどよ。オレは、哲という一番好きなヤツがいて、幸せを教えてくれる御幸と生きていけて、
もしかしたら最高に最高なんじゃねぇか、と最近、思うんだよ」
純が真面目な顔でクリスに言う。
「……それを、わざわざオレに話すという事は…?」
クリスが尋ねると、純は、分かってるんだろ、と続ける。
「あいつが…御幸が、いつか迷った時は頼んだぜ」
そうか、とクリスは頷く。
いつか御幸が純の気持ちが分からなくなった時、
哲の存在を疑うような時が来たら、オレの出番なんだな、とクリスは理解する。
「あいつはクリスの事、頼りにしてるからな!」
ニカリ、と笑って純がクリスの顔を見る。
「お。そろそろ花火が始まる頃だな。あいつら
戻って来るかな」
「ああ……来たようだな」
「ほんとだ」
御幸と栄純がじゃれ合うようにして、純とクリスに向かって歩いて来る。イカ焼きやらビールやら手分けして持って、急ぎ足で来る。
純は、御幸を見て、やさしく微笑んでいる。
口元に浮かぶ笑みが溢れそうなのを抑えているようだ。こんな顔の純は、哲の隣にいた時には見たことが ない。
「お前、そんな顔するんだな」
クリスが ぼそっ と言う。
「あ?何か言ったか?」
聞こえなかったのか、純が聞き返す。
「いや、何でもない。ほら、オレ達の幸せが
戻って来るぞ」
クリスが穏やかに笑って、純に言う。
きっと自分の顔も、純のようにやさしく微笑んでいるに違いない、と思いながら。
「ははっ気障だな、クリス!」
純がクリスの言葉を受けて言う。さらに表情を ほころばせながら。
にこにこと笑う2人の元に、キラキラと はしゃぐ
幸せが すぐ そこにある。
おしまい。
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