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三条先生と中村くん
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「最後は私か」
三条先生は相変わらず冷たい声だ。
絢ちゃんとボクを一瞥してから、椅子に腰かけていた。
「誰か分かったのか?恨んでいる相手とやらは」
「いえ、まだ・・・」
「だろうな、絶望した顔をしてるからな」
三条先生は鋭い。
「いいか、渋谷。慌てすぎたら何もでない。冷静になって考えればきっと答えは出る。だからしっかり4人を吟味しろ」
「分かりました」
先生らしい言葉を言う。
僕はその言葉をしっかり受け止める。
「とはいえ私と中村の関係なんて大したものじゃない。渋谷の隣によくいて、成績は普通、あいつ自身は目立つ奴じゃない」
渋谷といるからそれなりに目立ってるが、といった。
「だが、あいつはよく人を見ている。だからこそ、相手を見て相手がうれしいと思う言葉をいえるやつだと思ってる。本人は全く自覚がないみたいだが」
「よく見てるんですね」
僕の疑問に三条先生は一瞬目を見開いたが、すぐに戻る。
「生徒のことはよく見てるに決まっているだろう。それにちょっと生徒と話せばある程度はどんなやつか分かる」
「すごいですね」
「すごくない。30年弱も生きればいろんな人を見るからな。私なんかよりすごい奴なんてたくさんいる」
先生はもういいだろう、と言って立ち上がる。
先生からも、想定範囲内のとしかわからなかった。
「橘を呼ぶから、3人でしっかり吟味するんだ。そうすれば、分かるものもあるだろう」
先生は気持ち歩く速度を早くしつつ、廊下へ出て行った。
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