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踊っちゃった
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一松視点
ここ最近、カラ松の様子がおかしい。
いつもはイタイ発言を一日に二、三十回ぐらい言うはずなのに、今はそれが五、六回。少ない時は言うか言わないかぐらいまで減ってきている。しょっちゅう俺に構ってきたくせに、今やそんなこともなくなってしまった。そもそも、アイツ自体見ていない。同じ家に住んでるはずなのに、いつも隣で寝ているはずなのに、俺が猫の集会から遅く帰って来た時も、カラ松はいなかった。カラ松の身に何があったのだろうか。正直心配だ。
そんなことを考えながら二階の居間の襖を開ける。すると、そこには十四松が寝転がって天井を眺めていた。
「十四松、何やってんの?」
「……一松兄さん」
十四松の反応が遅れて返ってきた。
いつもなら光の速さで返ってくる五月蝿いぐらいの明るい声なのだが、今のはどこか力が抜けていたような気がした。具合でも悪いのだろうか。
「一松兄さん。カラ松兄さん知らない?」
十四松の顔はこちらからでは見えなかったので、表情がうまく読み取れなかった。
というかカラ松のことはこっちが知りたいぐらいだ。どこに行ったかも見当がつかない。
「……ごめん。俺、カラ松のこと知らないんだ」
「……そっか」
十四松はそう言いながら起き上がった。こちらか見える十四松の背中は、酷く切なく感じた。
「十四松……?」
俺がそういうと、十四松がキラキラ満面の笑顔でこちらに振り返りながら言う。
「なあに、一松兄さん」
その満面の笑顔も、切なく感じてしまう。
きっと、カラ松のことを心底心配しているのだろう。でも、十四松は、無理矢理でも笑おうとする。そういう奴だ。
そうだ、俺は十四松のお兄ちゃんだ。今コイツにできることは、カラ松を探すこと。
早く見つけよう、今すぐにでも。
俺は居間から飛び出し、いつものサンダルで駆け出した。
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