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少し大きめにパーカーを着せると彼は少年にフードを被せた
これを選んだのは初めて見る外の世界に驚いて怖がらないように目元を隠せると思ったから
それと同時に「ユウの目を見なくても済むから」なんて卑怯な考えの元だった
フードの中から上目づかいで自分を覗く目は今だ真実を知らず、何か新しいプレゼントをもらったみたいにキラキラと輝いている
ーーそんな目で見ないでほしい
こんな卑怯な最低な自分はそんな目で見てもらえる価値なんてないんだから
「みぃくん」
無邪気な声が耳に痛い
「すきぃ」
へにゃっと笑うその顔も、これからは見れなくなってしまうんだな....
彼はヨシヨシと頭を撫でた後、少年の手をきゅっと握った
そして後ろにいた椎名に目配せをして合図を送る
「先生...」
「うん...」
ほんの少し目を伏せるようにしながら椎名が答える
それは全てを了解したという事
洋服も着せた
もう一つの紙袋には当面に必要なものを揃えてありったけ入れてある
後はこの手を離すだけーー
すると彼は一つ忘れていた事を思い出して手を伸ばす
「そうだ、これ取らなくちゃ」
そう言って少年の首輪に指をかけた
金具からベルトを引き抜こうとすると、突然少年が彼の手を払いのけた
パンッーーと渇いた音がして彼の手が赤く色づく
「あっ...」
「ユウ?」
少年は思わず叩いてしまった自分の手と彼の顔を交互に見て青ざめていく
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