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彼はベッドの上で背もたれにもたれるようにして少年を膝にのせていた
少年は後ろ抱きされたまま彼の膝の上で一人遊びをしている
彼の長い指を握ってみたり自分の小さな手と彼のを合わせてみたりしながら楽しそうにしていた
彼はそんな少年の髪にそっとキスをして、絡んだ指を捕まえるように握り返した
「爪が伸びてるね...切ろうか」
そういうと膝から少年を降ろしてベッドから立ち上がる
ベットの上で一人残された少年は不安そうに彼の行く先を見つめていた
彼はリビングから爪切りをもってすぐに戻ってきた
「手...貸して?」
ベットに腰かけると少年の手をとって、その小さな指先に触れた
爪を切ろうと刃先を爪にかけたとき彼は唐突にあることを思い出して少年を見上げた
「ユウ、ごめんなさいって言ってみて?」
彼の言葉に少年は首を傾げるだけで口を閉じたままだった
「ご、め、ん、な、さ、い」
今度はゆっくり大きな声で言い聞かせて見せる
それでも黙ったままの少年の口に彼はいきなり自分の親指を突っ込んで無理やりこじ開けた
「言えよ、ほらっ!」
「うぁ...ぁ...」
無理やりこじ開けさせられた事で初めて少年は彼が怒っているのを理解した
「ご、ほら言って?」
「ご...?」
「そうそう...次はめ...」
「あ...」
「あ、じゃねーよ!」
一言咎めると彼はなんの迷いもなく爪切りをバチンと握った
「ひぃっ...」
「次も間違えたら、これだから」
深く抉られるように切られた人差し指の爪の間からじんわりと血が滲んだ
「め...ほら言って?」
少年は彼が何を求めて何を望んでいるのかをなんとなく理解することができた
これから何をして、何をしてはいけないか...緊張を張り巡らせて考える
背中に冷や汗をかきながら言われた言葉を頭の中で繰り返す
「め!」
正しく言葉を発すると彼は少年の瞼にキスをして「よくできたね」ととびっきり笑顔を見せた
彼が笑ってくれるとうれしくなって、自分の行動が正解だったことに安堵して、はしゃぐように少年は声を絞り出した
「ご!めんなっさい!」
たどたどしく全部言い終えると彼は目を丸くして驚いていた
「すごい!すごい!ユウ!すごいよ!」
彼は大袈裟に褒めて頭をよしよしと撫でまわす
「じゃあご褒美あげるね?」
彼に頬を舐め上げられた少年は嬉しそうに顔を摺り寄せた
ーー彼の言うとおりに行動できたことがうれしい
少年は得意げな顔でニコニコと笑っていた
そんな少年を見ると、彼は褒めてやりたい気持ちと同じくらい物足りなさを感じてしまう
少しだけ考えるようなそぶりを見せてからにぃっと口の端を引き上げた
「でも、やっぱり痛い思いしてからの方が気持ち良くなれるよね」
そして少年の手をとりあげて深く切った指先にもう一度爪切りの刃をかける
「!」
爪と肉の間に刃が食い込むと薄い爪がゆっくり浮き上がり始めた
ミリミリとほんの少しずつ剥がれはじめる指先から激しい痛みが上がってくる
「あぁぁぁ....!!」
指先から全身に痛みが駆け抜け、額から脂汗が一筋流れる
「爪、はがしちゃおうかなぁ?」
平然と言ってのける彼
少年の悶える声は、彼を興奮させる以外の何物でもない
片手を奪われた状態で、その痛みを堪えながら少年はさっき覚えたばかりの言葉を繰り返しだした
「ごめんなさい、ごめんなさい...ごめんなさ...」
突然の意外な少年の反応に彼はまたも驚いて声を上げた
「ユウ...意味分かっていってんの?」
むろん言葉の意味を少年は理解できなかったけれど、それでも必死になって繰り返した
「はぁっーーもういいよ!」
ひたすら繰り返す少年に彼はため息をついて少年の手を振り払った
そのままスッと立ち上がり爪切りを持ってリビングまで行ってしまう
離れていくその背中に怒りの炎が燃えているのが少年には見て取れた
少年は彼の機嫌を損ねてしまったこと後悔する
なぜならば彼に痛めつけられた後は決まって優しくしてもらえるのを知っているからだ
少年は立ち上がり自分のそばから離れてしまう彼の服の袖をひっぱり、行こうとするのを止める
そして自分の指を10本、彼の目の前に広げてみせた
その行動をみて、彼は驚きつつ自分の調教の成果を感じて胸が躍った
自分の態度を見て怒らせてしまったことに詫びを入れようとしているのが分かったからだ
「へぇ!えらいね?ユウは全部くれるの?」
クスクス笑いながら目の前に並べられた指をどれにしようかと選んでいく
差し出された指は恐怖からかどれもピンと張っていた
「でも、一本でいーや、残りは後に取っとくよ」
そういって選んだ指はさっきまで執拗に剥がされかかった指
せっかくだから同じ指にしてあげようとそれに決めた彼は深爪に血が滲む指を口に運ぶ
爪を軽く噛みながら少年の目を射るように見つめて口の中で転がした
「いっ...!ぃ!」
ねっとりと舌で絡めたりわざと歯を立てたりしながら十分にふやかしてその時を待っていた
少年の指が十分にふやけたのが分かると彼は爪を噛みちぎるように強くかじりついた
「!!」
思わず引いてしまう手を強く握られ容赦なく指ごとかみ砕こうとする歯
少年は地団駄を踏んで抵抗し、目からはボロボロ涙を流していた
そのままベリッと篭った音が聞こえるとそこに針のような痛みが刺さった
それは爪が剥がされた痛み
彼はそのまま傷口をグジュグジュと唾液まみれにしてふるふると痛みに耐える少年を眺め続ける
「はい...おりこうだったね」
ようやく彼が口から指を引き抜くと赤色が混じった唾液が糸を引いて流れた
そしてべぇっと出された舌の上には薄く小さな少年の爪が乗っていた
彼はそれをベットの横のサイドテーブルに置かれた小物入れの小さな瓶に大事そうに入れた
うっとりする目で小瓶の中身を見つめながら「10個揃うの楽しみだね」と微笑んだ
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