アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
「ユウ...?どうしたの?」
あまりにも静かな少年を伺うように覗き込むと口の端から血が滲んだ涎を垂らしてぼんやりと宙を見つめている
「ユウ!」
大きめに声をかけて視線を合わせようと顔を向かせると、目を合わせた瞬間に火がついたように泣き出した
「わぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁぁぁん!!」
相当痛かったのだろう...顔を真っ赤にして泣きわめいている
「わかった、わかった、ユウ......泣かないで?」
大声を張り上げて泣き叫ぶ少年の手錠を外して背中に手を差し込む
抱き上げてベットに目をやるとシーツはびっしょりと汗で濡れ、少年の形の染みを作っていた
「頑張ったね!エライエライ」
泣きじゃくる少年を宥めるようにその小さな背中を何度も擦る
泣きじゃくりながら彼にしがみ付いた少年の手が彼の背中に爪を立てた
「うんうん、えらいね、ユウは、おりこうだね」
トントンと背中を叩いて呼吸を落ち着かせるように言い聞かせる
汗で張り付いた髪の毛を梳かして、今だに雫を垂らすこめかみに唇を寄せる
しばらくするとようやく落ち着いた少年が少しの引きつけだけを残して大人しくなった
「落ち着いた?」
ーーこれはいつもの日常
苦痛を与えては泣き叫ぶ少年をなだめては立ち直らせ、傷みの分だけ甘えさせてやれば、されたことも忘れて笑顔を向ける...そのはずだった
けれど今日に限っての少年はいつもと違っていた
少年は彼の顔を見上げるとガタガタと震え出し、彼の身体を押しのけるように自らの手を離す
「ユウ?」
彼の腕の中から逃げるようにすり抜けてベットから飛び降りようとした
しかし、その一瞬に彼は少年の首輪を鷲掴みにしてひきずり倒した
「がはっ!!」
勢いよくベットへ引き戻された少年の身体が彼の前に跳ねる
倒れこんだ少年のその細い首に彼は手をかけて力を込めた
「なに逃げてんだよ」
凄むように低い声でいうと少年の喉元を徐々に締め上げていく
「ぐあっ...がぁぁっ...」
少年は口の端から涎を垂らし、その苦しさに逃れようと悶えて彼の腕を掻き毟る
「ご...め....らさい」
朦朧としながら少年は教えてもらった謝罪の言葉を口にする
彼は咄嗟にでた少年の言葉に驚いて指の力を緩めた
「ちゃんと謝れるんだねぇ」
「.....」
「怖いの?」
それは肯定してはいけない言葉
言われたら頷いてはいけない決まり
それなのに、身体が嫌がって首を横にすることができなかった
「ユウ?聞いてる?」
キョトキョトと目線が動いてしまう少年の顎を掴んで無理やり目線をあわせる
「痛いの?」
それでも首を横に触れなかった
背中にまた汗のしずくが流れる
痺れを切らして彼は片手で胸の傷口を鷲掴みにした
いつの間にか血は止まっていたが今だにその傷は激しい痛みを残していて、掴
まれた瞬間にあの恐怖が蘇った
「あはは..震えてるね?よっぽど痛かったんだぁ」
彼は楽しそうにケタケタと笑っている
ーー痛くて痛くて仕方がなくて、怖くて怖くてたまらなかった
少年がそう思っているのが表情や目線で分かる彼はそれがたまらなく楽しくてやめられない
「痛いの?」
執拗に傷口に爪を立てて少年の顔を覗き込む
彼の黒目に映る泣いている自分の顔を見ながら少年は唇を震わせる
痛い痛い...いたい...いたい...いたい....
「いぁ.....」
震える唇が何かの言葉を発しているようで彼は思わず耳を寄せた
「ユウ?なぁに?」
「いたい....よぉ...」
途切れそうな声で悲痛な叫びを絞りだした
この言葉は認識はできるとも話せるようには教えていなかった
「すごいねぇ!しゃべれるようになったの?」
「うぅーー...」
泣きながらぐしゃぐしゃになった顔を何度もぬぐってやる
だけど少年の目からはどれだけぬぐってもとめどなく涙があふれた
「わかったよ、今日は頑張ったから終わりね?」
少年があまりにもおびえて泣くから彼は掴んでいた手を離した
このままやってもつまらない....そう彼は思っていた
壊れてしまっては意味がない
ギリギリのところで保っていてもらわないと..
泣いて縋って..だけど彼の手を離せない...そんな少年を愛しているから
「もうしない...ね?」
分っているのかいないのか...顔をぬぐってやるとされるままにおとなしくなった
「俺のこと好き?」
そう問いかけると眉毛をハノ字に曲げて頷いた
「じゃぁ...俺にキスしてよ」
これは理解できないらしくうるうるとした目を向けた
彼は少年にわかるように自分の舌を突き出してみせた
すると少年は少し戸惑いながら自ら顔を近づけて彼の舌に自分の舌を絡ませる
彼は内心ホッとしながら少年を味わい、次のことを考えていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 805