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扉が閉まり終わるのも待てないほどだった
引きずり込んだ少年をその腕に抱きしめる
無意識にその小さく細い体が折れてしまいそうなくらい力が入り、腕の中で苦しそうに少年は小さ
く声を上げた
「うぅ....」
自分で少年を試したくせにいざ見えなくなって焦って、飛び出して、このざまだ
彼は自分自身をあざ笑い、そして思い知る
彼もまた少年がいないと生きていけないことを
ギリギリと腕を締めながら少年の髪に頬ずりをしてそのにおいを胸いっぱいに吸い込んだ
抱きしめる腕の中で少年がもぞもぞと動いて彼に何かを訴える
「なぁに?」
その中に閉じ込めたまま彼は少年に聞いた
動きずらそうにしながら両手を固く握って彼に差し出している
その手をよく見てみると、ところどころ血がついているように見えた
「どうしたの?!」
パッと見る限りケガをしているようには見えない
自分が見ていない間に何があったのか....
「手、見せて?」
そういって突き出した拳を掴む
「手!ひらいてよ!」
握られて手をなかなか開こうとしない少年に彼は思わず声を荒げていった
自分は何度となく少年を痛めつけてその際、出血することもあるというのに、いざ自分以外が少年に危害を加えることがあると思うといてもたってもいられなかった
こわごわと少年は手のひらを広げていく
その手の平の中に血に染まった何かが握られているのが見えた
その小さな薄い何か....
彼は指先でその何かをつまんで透かして眺めた
それは渇いた血がこびりついた薄くて小さい....
「爪....?」
少年は彼に両手をささげるように向けてまま彼の目を伺うように見上げていた
「これ..自分で剥がしたの?」
目をぱちぱちさせながら少年は彼を見上げるだけで何も答えない
それでもその目は..よくできたでしょう?えらい?ねえ...ほめて?
そう訴えているように見える
「ユウ...これ俺にくれるの?」
その爪を握りしめて尋ねると少年はこぼれるような笑顔を向けた
「そっか...ありがとう」
胸の中が熱くなっていく
かわいいかわいい自分だけの少年からのプレゼント
どんな高価なものよりも嬉しくて嬉しくてたまらない
自然ににやける顔を振って少年を抱き上げると嬉しそうに首に手をまわしてしがみ付く
「ユウ..大好き..なにしてほめてほしい?」
特別な贈り物にはそれ相当のお返しが必要だから...
彼は少年こそ大事な宝物のように抱えていた
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