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それからも熱は何日も下がらなくて
ベットに横になる少年の手を彼はずっと握っていた
熱に浮かされた瞳から勝手にポロポロ涙が流れていく
少年は赤くなった顔で苦しそうに短く息を吐く
「ユウ?辛い..?」
そう問いかけてみても、ぼんやりこちらを眺めるだけで、その焦点も定まらないようだった
寝ている間、ずっと手を握ってくれて、たまに髪を撫でてくれた
汗をかいたら拭いてくれて、着替えもしてくれて
包帯を変えるときはすごく痛かったけど、痛くて痛くて仕方なくてじっとしていられなかったけど、それでも怒らずにいてくれた
大好きなプリンを食べさせてもらったのに飲み込めなくて、気持ち悪くなって吐き出してしまった時も、背中を擦って「大丈夫だよ」と言ってくれた
ずっと苦しいのがなくならなくて、このままずっと治らないような気がしてくる
こわいよ
くるしいよ
潤んだ瞳を覗き込んでうとうとする少年の髪を撫でながら彼は考えていた
誰にも知られずに二人だけの世界を守っていくことに限界を感じ始めていた
「嫌だなぁ...」
ポツリとつぶやきながら天井を見上げて、深いため息を吐いた
手元に置いてある携帯を伸ばして画面をスクロールしていく
ある人物の名前のところで指を止めた
最後のボタンをタップするのをどうしてもためらってしまう
その気持ちを後押ししてほしくて、チラリと少年を横目で見ると、いつの間にか、穏やかな顔で眠ってしまっていた
かわいいかわいい自分だけの宝物
誰にも見せたくないけど、これ以上辛そうなのは見ていられない
「はぁ.....嫌だな...」
もう一度つぶやいて目線を携帯の画面に落とした
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