アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
40
-
「先生が来ないからこうなるんだよ」
そういって嘲る彼の顔を見ていると背筋が凍っていく
「どう意味?」
「うん?そのまんま...来てくれないとこうなっちゃうんだよ...俺ね...」
彼の言い分はひどく理不尽なものだった
「先生は優しいから、ユウのことも俺のことも気になって気になって仕方なかったんじゃない?」
そういって彼が僕の頬に触れた手は恐もうろしいほど冷たかった
「ほら...目が赤い...昨日眠れた?」
「なんで.....」
「遅いからもう来ないのかと思った...けど来てくれた。警察に言ったり、誰かと来ることだってできたよね?でも来てくれた。一人で。会いたかったでしょ?俺に、会って確かめたかったでしょ?」
その目はそらすことを許さなかった
こんなにも目だけで人を縛りつける人間は見たことがない
仕事がらいろんな人間を見てきたはずなのに...
「自分が昔、治療した人間が本当はイカレテルか確かめたかったでしょう?」
自分が知っている彼ではない...それだけは分かった
かつて自分のもとに通っていた彼はまっすぐで脆くて時に暴力的なところがあったけれど、そんな自分のことを怖がっているようなそんな子だった
「イカレテルなんて...だけどこんなことする子じゃなかったはずだろう?」
「....?」
「君は..本当は優しくて...人を傷つけるような子じゃなかった」
「聞いたぁ?ユウ..俺優しいって...」
話をさえぎるように床に座りこんだ少年を今度は抱き寄せながらまたベットに上げる
「先生が...俺が優しいんだって!ユウは?そう思う?」
彼が笑うとさっきまで泣いていた少年も反射的に笑う
昨日と今日....少年の話す声が聞こえない
それどころか彼に縋るようなこの仕草
二人の依存した関係性がひどく不気味だった
「先生..ほら..ユウの傷、手当てしてよ」
言われるがままに僕はカバンの中を弄った
逆らってはいけないと思った
この場をうまく切り抜けて...
「このまま帰れると思わないでね?」
見上げた彼の目はどんよりと歪んで見えた
「先生も一緒にいて?」
「なに言って...」
「先生が帰ったら俺...ユウに何するか分んないよ?先生のせいで死んじゃうかもね?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 805