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振り返る事もせず、彼は寝室を出て、再びキッチンへ向かう
買った食材や飲み物を片付けながら、イラついた姿勢が空気をピンとさせた
強めに物音を立てたりして、ガシャンと音が響くたびに、少年はビクと身体を強張らせた
少年は無意識なのか椎名の服の裾をギュッと握って、彼を目で追っていた
キッチンで何かを作る音が聞こえると、微かに空腹を誘う匂いが部屋に漂った
「先生、こっち来て?食べよう」
「僕にもくれるの?」
「なんで?先生はお客さんなんだから」
そう言いながら支度を続けている
「そう思うなら、コレ、外してほしいんだけどな」
両手を目の前に掲げて手錠をみせた
少年は椎名の服につかまりながら、その漂う匂いにお腹をキュウッと鳴らした
「行こうか?」
椎名は少年の手を引いて寝室をでる
リビングの低いテーブルに彼は2つ皿を乗せた
中身は炒めた焼き飯のようなもので、香ばしい匂いが立ち込める
「ユウはこっち」
そう言って彼は小さめの皿を床においた
近づいてよく見ると、それは犬のエサを入れる容器
床に置いて、それを食べろと彼は要求した
「なにしてるんだよ!」
椎名が声を荒げるのを尻目に少年は少し戸惑いながらその前に座った
皿に手を伸ばそうとした時
「だめだよ!」
椎名が言うと少年は驚いて、手を引っ込める
「この子は犬じゃないんだよ?!」
彼は椎名と少年をゆっくり眺めてから
「あー,そうだね」
と納得したようにいって、席をたつ
向かった先はベットサイドのナイトテーブル
置いてあった小物入れに手を突っ込み何かを取り出したように見えた
そのまま、その何かを掴み少年の元にしゃがみ、顔には笑みが浮かんでいた
少年は握られた手の中のものに気づいて顔をあげた
「ほら、ユウの宝物、返してあげる」
そう言って首元に手を回す
回された手に握られたのは以前、外された赤い首輪
少年の初めてもらったプレゼント
とりあげられて寂しくて、返してほしかった宝物
金具を通して首輪をつけて、その間に人差し指を引っ掛けて口角をあげた
「はい。俺のかわいいワンちゃんのできあがり」
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