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少年は椎名の腕を掴んでグイグイひっぱる
「えっと、、、なぁに?どこいくの?」
少年はニコニコしながら椎名を連れてとなりの部屋の扉の前に連れて行く
それは今まで、開けた事のない扉
「まって。勝手に入っていいの?」
少年は扉に手をかけるが重そうで1人では開けられないみたいだった
手伝うように扉を押した
その扉はそこだけ、細工が施してあり、幼い少年の力だけでは開かないようにしてあった
キイと擦れる音と共に扉が開く
そこには何もなかった
真っ白部屋に、タイル張りの床
小さな窓が1つ
一歩踏み入れてみると床はひんやりと冷たかった
少年は椎名の掴んでいた腕を離して、その小さな窓まで走っていってしまう
後を追って部屋の中に入ると、足下に点々と血の跡が見える
窓が浮かぶ壁には血を拭き取った跡
一瞬でここが何なのが理解した
ここは少年の部屋なのだと
無機質に殺風景なこの部屋の空気は冷たくて淀んでいる
そこで1人だけ、そぐわない程の笑顔を見せる少年がいる
窓に張り付くようにして、外を指差しながら椎名を振り向く
「あっ、、、あっ、、、」
自分を呼んでいる気がして椎名は少年に近づいた
「なぁに?何か見つけたの?」
指差す方向に見えるのは木の枝に止まった小鳥
「あぁ、、、鳥かぁ。また見つけたんだね」
「うぅ。と、、り、、、とーり」
窓を人差し指でトントン突きながら少年は何度も繰り返した
覚えた言葉を忘れないように
小鳥がこっちを振り向くのを期待するように
椎名は少年を抱き上げて窓を覗かせた
「わっ」
急に自分の目線が高くなって少年は目を丸くした
「ほら。こっちの方がよく見えるでしょ?」
椎名は外の景色を見せながら、指をさす
「あっちには綺麗なお花が咲いてるね」
「ほら。あの建物は大きいね」
「あ。あれ見てごらん?」
指を指す先を眺めては首を傾げる少年
意味はわからないようだった
「ユウくん、、、」
「、、、、」
「ユウくん?」
「ぅあ、、?」
椎名は抱き上げた少年をギュッと抱きしめて言った
「君に言葉を教えてあげるよ」
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