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「ユウくんは食べれるかなぁ?」
宥めて気を引いて
まるで保育士のようだと思う
もう一度プリンをすくって口元に持っていく
最初は固く閉じられていた口元が心なしか緩くなっている気がした
片手でもう一度ぬいぐるみ越しに話しかけると、少年の目は戸惑いながらこっちに傾いているのが分かる
いいのかな....食べていいのかな....
そんな風に迷っている姿が切なかった
言葉が分からなくてもぬいぐるみで仕草を真似すればなんとなく理解してくれたようで、この人形劇は効果絶大だった
「あ....」
何か言いかけた少年の口の中にするりとスプーンを滑らせると少年は驚いたような顔をして、そのままの勢いで喉をコクンと鳴らして飲み込んだ
「あはっ!ユウくん!えらいえらい」
食べてくれてことに安堵してぬいぐるみと同じように大げさになでなでしてあげると、それからは少年はすんなり口を開けた
飲み込むたびに大げさに褒めて、ぬいぐるみの顔を少年の頬に寄せた
小さなカップのプリンはすぐに無くなってしまう
少年はよっぽどお腹がすいていたのだろう
中身のなくなったプリンの容器を舐めさせてくれと言わんばかりに舌を出して強請ってきた
「もうないんだよ。ごめんね?」
本当はもっと何か食べさせてあげたい
だけどあまり大きく出て彼の機嫌を損ねてしまうのも問題だ
まずは焦らず少年との距離を縮めて、それからここを出ることを考えなくては...
できるなら
できることなら力づくではなくて、彼を納得させてこんな生活を終わりにしてあげたい
彼にもう一度やり直す機会を与えてあげたい
少年を監禁して、虐待しているのを見てもなおそう思ってしまうのは愚かなことなのだろうか...
それでも僕は信じたい
昔、僕の患者として目の前にいたあの儚くて繊細だった彼のことを...
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