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あったかい....
少年が目を覚ますと、少年の体は彼の程よい力で抱きしめた腕の中にいた
少しだけ窮屈に感じるその中で、彼が目を覚ますのを待ちわびる
二人で寝ているとだいたい決まって先に目が覚めるのは少年のほうだった
彼のベットで寝ると夢を見る
優しくて甘い幸せな夢 それはとても嬉しいのだけれど
いい夢は決まってすぐに消えてしまう
幸せな分だけ簡単に覚めてしまうものだから
すこし体を捩った拍子に少年の髪が彼の首筋に触れ、彼をゆっくりと目を開けた
「ん......おはよ」
”おはよう”
彼は目を覚ますと必ず最初にこれを言う
少年は意味は分からないが、起きたときに言う言葉として認識はできていた
起きてすぐの彼は”おはよう”といってから、なぜかふっと目を細めて笑う
少年はその顔が好きだった
彼の他のどんな顔よりも
それは、ほんの一瞬でよく見ていないと見落としてしまうくらいのことなのだけれど...
目覚めたその一瞬は、例えば昨日どんなに怒られて、殴られて、痛いことがあったとしても目覚めたその時だけ、彼は何もかも忘れてしまったように優しく微笑んでくれる
すべて許されたような気になるのだ
その後すぐに、けだるそうに布団を剥いで腕を伸ばすようにして起き上がり、くるりと振り返った時にはもういつもと同じ彼に戻って、いつもと同じ一日が始まってしまうのだけれど...
いつも通り、起き上がった彼は髪を掻き上げてから床に足を下ろして体を伸ばした
骨の軋む音が小さく聞こえた
少年は寝ころんだままそれを眺めていた
ふいに彼が思いだしたかのように振り返り少年を見た
「お腹すいたよね!ごはんにしよう」
目の前に伸ばされた手を掴もうとしてもチカラが入らない
少年は自分で思うよりも空腹で体は限界に近かった
彼は寝ころんだ少年の背中に手を入れて軽々と抱きかかえるとそのままベットから立ち上がった
「いっぱい食べよ?無理しちゃったもんね」
抱えられて彼の腕に手をまわしたいのに力が入らない
少年は思いだしたかのように震える指を彼に見られないようにそっと手のひらに隠していた
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