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今にも声をあげて笑い出しそうな少年を見ながら椎名は何度もうなづいて笑った
「うん、うん、いいね!ユウくんとっても楽しそう」
少年は二体のぬいぐるみを顔に寄せて椎名の顔を見てニィッと笑う
「あ、ほら。見て見てーっていってるよ?」
「気のせいじゃない?」
彼は冷めた口調でソファにもたれたまま少年をチラリと見るだけだった
「冷たいなぁ、君は。ユウくん、ちょっと貸して?」
椎名はそういってから少年からぬいぐるみを受け取り
ペンギンの方を彼に無理やり押し付けた
「ユウくん!とりさんもおしゃべりするよ?見ててごらん」
「は?」
「はやくっ!こんにちわーってやって」
椎名に肘で小突かれた彼は激しく狼狽した
「無理だよ!やったことない」
「平気だよ!ほらこーやって...ユウくーん」
椎名は少年にぬいぐるみを見せて声色を変えながら
わざと大げさに彼に見本を見せた
「あはっ...あー」
フリフリと動くぬいぐるみに話しかけられた少年は嬉しそうに顔をほころばせ、手を伸ばす
「ほら!次は君の番だよ」
「無理だって...」
「ほら、ユウくん見てるよ!」
少年は彼の前に座りながらじっと彼を見つめていた
パチパチと瞬きをしてぬいぐるみが話だすのを待っているかのようだった
その目があまりにも期待に満ちていたので彼は渋々ぬいぐるみを掲げて一つ咳払いをして座りなおした
「ユウ」
名前を一度呼ぶとまるで子犬がピンと耳を張るように反応してまっすぐ彼を見た
「ユウ...あ...えっと...」
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