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しばらくすると寝室をノックする音がする
「おーい、二人とも、そろそろ起きたら?」
彼がだるそうに腕だけ伸ばしてベットサイドの時計をつかんで時間を確認すると10時近くになっていた
どうやら気づかぬうちに二度寝をしてしまっていたようで彼は飛び起きるようにして布団をはいだ
「ごめん!先生、今行く!!」
扉越しの椎名に大きく声をかけて一緒に寝ていた少年を起き上がらせる
「おはよ、寝すぎちゃったね」
微笑んでからまだ寝ぼけている少年の髪を撫でつける
「ん...」
眠そうに目をこする少年に向って両腕を広げて彼は言った
「早くあっちに行かないと先生に怒られちゃう、今日はどうする?抱っこする?」
少年はためらうことなく手を伸ばしぴったりと体を彼に預ける
「よし!じゃぁ、あっちに行こうか」
ぐっと抱き上げて彼は少年を抱えたままベットから降りる
少年は当たり前のように首に巻き付いて彼の頬に自分の頬をくっつける
最近はこうやって毎朝抱き上げてリビングまで連れて行ってもらうことが日課になっていた
うれしくて幸せな朝、大好きな人と笑える一日が始まった
それはすごく穏やかで今までのことが全て嘘だったかのように錯覚するくらい幸せで満ちていた
痛いことも辛いことも悲しくて泣いてしまうこともない
それは少年が見る夢にとてもよく似ていた
ふわふわして温かくて気持ちが良くて甘すぎるくらいの夢の中
きっと今までがずっと夢だったのだ
それは長くてなかなか覚めない怖い夢だったけれど、やっとそこから目覚めることができたのだ
これからはどれだけ夜を迎えてもこの幸せが迎えてくれるのだと信じていた
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