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踵を上げて
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みんなと仲直りできてよかったと。
また、一緒にいたいと言ってくれた。
きっと、僕はまだまだ未熟だ。
けれど、それでも笑いあえるなら、一緒にいても許されるだろうか。
「鈴原」
バン、といきなり扉が開いて、二ノ宮君が入ってきた。
「え、ど、どうしたの?」
何かあったのだろうか。
「話、終わったっぽかったから」
ん。ん…?
それは、僕を心配して、だろうか。
「うっわ真ちん、ムードぶち壊し」
「うるさい」
からかうように言った橋倉君に、若干ムッとしたように二ノ宮君が答えた。
「心配して、何が悪い」
「それは多分、心配のレベル超えてますよ…」
「いいんちょ、大人気ない…」
「な、なんだよ!あーくそっ、悪かったよ!」
皆からジト目を向けられて、居たたまれなくなったのか。
でも、本当に皆、
「仲良しさんだね」
笑ってそう言うと、何故かみんなから呆れた目を向けられた。
「お前もこいつらと仲いいだろ」
極端に言えば、仲良くなったばかり。
さすがに中学のころから、もっと言えば幼少期から一緒の二ノ宮くんたちには負ける。
「これから、かな」
「ですね」
「だね」
「うん」
と、二ノ宮君以外の4人で笑いあう。
「なかよくするのは構わんが、こいつには惚れるなよ」
くっと、僕の肩を引き寄せた二ノ宮君。
「こいつは俺のだからな」
「え、あ、あの…二ノ宮君…」
「なんだ」
「人前で、そう言うのは…」
チラリと3人を見ると、少しだけ苦笑いしていた。
「本当のことを言って何が悪いんだ」
「え、いや…そうじゃなくて……」
「真ちん、それ以上行くと、かいちょーから嫌われちゃうよ?」
その言葉を間に受けてだろうか。
バッと僕の肩から手を離した二ノ宮君に、少し、少しだけ寂しかった。
「…不器用だねぇ」
ひとり、橋倉君だけがそう小さく呟いた。
「ねぇ、二ノ宮君」
「あ?」
みんな解散した後、残った僕は二ノ宮君に尋ねた。
「なんであんなこと言ったの?」
「あんなことって?」
「惚れるなよって、あ、あれは…その、言わなくてもいいんじゃ…?」
「………」
「あの、」
「言われた」
「ん?」
言われた?誰に、何をだろうか。
「直人に、あの3人がお前に惚れるかもって、言われただけだ」
こちらを向いて言ってくれない二ノ宮君。
紀田君たちが僕に惚れるなんて、
「ありえないよ」
自惚れてもいいなら、二ノ宮君は不安、なのだろうか。
そう思ってもいいのだろうか。
「紀田君たちが僕を好きになることも、僕が紀田君たちを好きになることも、ない、…から」
今も、この先も。
「僕が好きなのは、二ノ宮君だけだから」
ゆっくりと、二ノ宮君の前に歩み寄って、
「鈴原…」
ねぇ、二ノ宮君。
「好き、です」
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、背伸びをして二ノ宮君の唇に僕のを合わせて、離した。
これは、ものすごく恥ずかしいな……。
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