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意地悪心
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パーティのことも、誕生日のことも猛烈に悩み続けながら、気づけば2週間が経っていて。
つまり、パーティも誕生日もあと2週間に迫っていて。
紀田君たちに「そろそろダンスのペア取っておいた方がいいですよ」と急かされて、二ノ宮君に会いに風紀委員室まで来たけれど。
結論から言うに、僕は困っていた。
「委員長、僕と組んでください!」
「二ノ宮様、僕と組んでください!」
「二ノ宮様、あの、俺と踊ってくださいっ!」
二ノ宮君のところへ着く前に、その周りには人だかりができたいた。
ーち、チワワみたいだ。
二ノ宮君も、周りを囲む人も僕には気づいてなくて、少しだけ、後悔した。
「ちゃんと、もっと早く言えばよかった…」
多分正直自惚れていたのだと思う。
二ノ宮君の方から誘ってくれるのではないかと。
「じゃあ俺と踊るか?」
「!?」
ボソリと呟いた言葉に、隣から返事が来たことに驚いた。
「上野君…!!どうしたの!?」
久しぶりに会った。
多分、文化祭の執事上野君以来かな。
また副委員長に世話になったと笑う彼に、あぁ、また桜月君勝手に入れたんだと苦笑する。
「何って、ダメ元で鈴原誘いに来たんだけど」
「ん?んんん?」
「だから、ダンス」
「なんで僕?」
「そりゃ好きなやつと踊りたいだろ?」
え、あれ?
今なんて言いましたかこの人。
「あの、でも僕二ノ宮君と…」
「おいおい、勝手に諦めたとか思うなよ?
てか、その様子じゃ委員長サマとって決まってないんだろ?」
「う、」
「やっぱな。馬鹿だよなーアイツ」
図星をつかれ言葉に詰まる僕に、上野君はおかしそうに笑った。
「あの様子じゃ、誘うにも誘えねぇんだろ?」
「……はい」
本当この人鋭いな。
だからさ、と上野君は言う。
「あんなヘタレほっといて、俺と組もうぜ?」
「でも………」
正直、二ノ宮君と踊りたいけれど。
囲まれて、自分勝手だけどあっちから僕に誘ってくれなかったことが、多分僕を動かした。
ー少しだけ、困らせたい。
多分それは、わかってはいなかったけれど。
ヤキモチを妬いて欲しいということ。
でも、そんな気持ちで上野君の誘いをOKしたら、上野君に失礼じゃないか。
「あの、僕は踊ってもいいんだけど、その…」
「ん、だいたいわかる。あれ見てたらな。
いいよ大丈夫、俺はお前と踊れることが嬉しいから」
そう言われて、一層上野君に対する罪悪感が募った。
「やっぱり…」
「ほらそれに、落とすチャンスだし?」
有無を言わせぬよう、言ったその言葉に僕は甘えることにした。
きっとわかってる上野君なりの気遣い。
ごめんね、上野君。
あ、あとごめん、二ノ宮君。
そう思ったけれど、誘いを受けまんざらでもないような顔の二ノ宮君を見て、少しだけムッとした。
「僕のなのに」
言って、ハッとなって赤くなる。
「ははっ、かわえーの」
笑いながらほっぺたをキュッとつままれた。
「い、いたいれす……」
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