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まっさかぁ〜(笑)
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ざわざわと、体育館が揺れている。
ステージに紀田君がいるにも関わらず、そのざわめきはおさまらない。
なぜなら今日は来たるダンスパーティーだから。
「では、各自準備して2時間後の午後6時にこの体育館へ集合してください。
女性役の人は、別室に服は準備してありますのでお使いください。
ペアが決まってない人、残り2時間が最後のチャンスですよ。
頑張ってくださいね」
そう言って一礼してステージから降りていく。
そう、今日は待ちに待った……待ってないかもしれないけれど、ダンスパーティ当日。
早めに終わった授業の後、6時から開かれる。
それと、僕にとっては二ノ宮君の誕生日。
いろんな意味でドキドキしてきた。
うんむしろ吐きそう。
「かーいちょうっ」
「わっ、桜月君、!?」
僕も、その、女役になるのだから準備をしようと席を立つと、後ろから桜月君が顔を出した。
別に喧嘩していたとかいうわけじゃないけど、今回は桜月君に頼りすぎないようにとあまり話してなかった。
「どうです?」
「ど、どうって…」
いやなんとなくわかるけど…
「順調、かな。衣装も準備されてるならありがたいし…」
僕がそう言うと、あれ?と桜月君は首を傾げた。
「まさか、それ着るつもりじゃないですよね?」
「えっ?」
いやいやいや、準備されてるものなら使わなきゃだよね?
桜月君、なんであたり前のように着ないですよね?みたいな顔してるんですか。
「まぁ確かに、今回はあまり助けは出しませんでしたが、服は別です。
特別仕様で準備させてもらいました」
ニッコリと笑ってそう言う桜月君に、嫌な予感しかしない。
こういう予感は本当あたる。
「でも、助けないって…」
あー、と桜月君は困ったように笑う。
そしてはっと、今思いついたように笑って、
「これは会長のためというより、委員長のためですよ。ほら、今日は誕生日ですから」
「え、あー、そっか…」
そう言われたら納得せざるを得ない。
「ま、完全に俺のためですけど」
「ん?」
「いえいえ」
何か聞こえたような気がするけど、はぐらかされて「行きましょうか」と言われたらついて行くしかない。
「……………あの、」
嫌な予感はあたる。凄い確率で。
「はい完璧ですね」
「いや、あのこれは………」
これは、ない。
1番ない。
これなら、まだ、まだあのワンピースの方がよかった。
「委員長も興奮しますねこれ」
「……」
しなくていいんだけど…。
「あ、あと桜月君に頼みたいことがあるんだ」
もうこれは無理だと、繰り返せばそりゃ学ぶ。
諦めて、桜月君に頼みごとをする。
それは、僕にとっては大事な頼みごと。
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