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セクシー系はお嫌いですか?
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6時10分前。
俺は鈴原と約束した場所、体育館の入り口で鈴原を待っていた。
正直、女の鈴原が見れるのは、嬉しい。
けど、鈴原自身は嫌じゃないのか?
もともと普通の男の子なわけだし。
女装なんてそんな何回もしたいとは思えんだろうに。
悶々とそういうことを考えていると、少し遠くから二ノ宮くんと呼ぶ声がした。
間違えることのないその声は鈴原で。
急いでいるのか、少し小走りになっている。
「……」
俺はというと、そんな鈴原から目が離せなかった。
別段豪華というわけじゃない。
ただ、足。足だ。
白いドレスってところを見ると、直人が選んだのだろうか。
確かに鈴原に白は似合うが。ていうかナイスチョイスだが。
ドレスの片側が、裂けているというかなんというか。
それも太ももの付け根ギリギリまで。
おかげで、右足がほとんど見えてしまっている状態なわけで。
本人それを気にしているのだろう、スリットを抑えながら走ってきている。
ただ、低くしてあるとはいえ慣れないヒールのせいで転びそうになった。
「わっ、」
「あっ、ぶね」
慌ててそれを抱きとめたはいいけれど、
「「…………」」
鈴原は鈴原で、下を向いて目を合わせてくれないし、俺は俺で、目線が足に行ってしまうわけで。
ーやっぱ足、綺麗だな。
などど、バカみたいなことを考えていた。
ー変態か俺は。
「鈴原、大丈夫か?」
「っ、はいっ」
若干裏返った声に、クスリと笑いが漏れる。
そんなんじゃ、いじめたくなるだろ。
「それ、自分で選んだのか?」
「え?あ……ち、違います…」
恥ずかしいのか、顔を真っ赤にさせてさらに俯く。
まぁ直人だとはわかってはいるけれど。
「足、恥ずかしいんだろ?」
「っ、あ、足だけじゃ……」
ん?と思う。
足だけじゃない?
恥ずかしい原因が?
「どこ?」
「いや、あの…」
「言って、鈴原」
「………背中、です…」
背中。
確かにそういったよな?
ふいっと、後ろを覗き込んで、あぁと納得した。
つまりは背中もほとんど出ている状態。
足だけじゃないって、そういうことか。
「こういうの好きなの?」
「ち、ちがいます!」
とんでもない誤解だと、必死に顔に書いてある。
「こ、これは桜月君が、その、……」
泣きそうな鈴原にさすがにこれ以上は可哀想になってしまった。
「ごめんごめん、わかってるよ」
直人のやつ、絶対いい理由つけて自己満足してるだろ。
容易に想像できる。
「に、似合いませんか?いや、男に似合うっていうのも変なんですけど」
真っ赤な顔で不安そうにそんなことを言われたら、こちらだってたまったもんじゃない。
「まさか。凄く似合ってる」
「っ、」
あぁ、結局何言っても赤くなるのな、と苦笑した。
「鈴原」
名前を呼んで、手を差し出す。
「行くぞ」
「はっ、はいっ!」
少し戸惑った後、恥じらいながら笑って手を取った。
パーティはだいたい9時まで。
余裕があったり、生徒同士の希望で10時まで伸びたり伸びなかったり。
無駄に長いんだよな。
早く帰って、鈴原といたいのに。
1時間くらい、踊ったり、軽く食べたりを繰り返していると、
「あの、二ノ宮様、お誕生日おめでとうございます!」
前俺に告白してきた可愛い顔をした奴が、そういってきた。
また不安にさせるかもと隣を見たけれど、
その頃にはもう、
「鈴原?」
鈴原はいなかった。
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