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計算通りと計算外 桜月side
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会長との約束を守る以前に、俺には問題が発生していた。
「直人様、お相手がいないのなら僕と踊ってくれませんか!?」
「ずるい!僕だって!」
周りには、人だかり。
というか、チワワだかり。
俺も一応風紀の副委員なんだし、こういうことはあり得るが、最近なかったために完全に油断していた。
「いや、ほら俺制服ですから他の方誘ってください」
役員の特権を使いまくって参加はするものの踊らなくてはいいことにさせてもらった俺は制服だった。
それを理由に断ろうと思ったのだが。
「いえ、それでもいいんです!」
はぁ、とため息をつきたくなる。
面倒くさいなぁ。
会長との約束があるのに。
確かに、周りのチワワ達は会長よりも顔立ちはずっと可愛く女の子みたいだ。
しかし、だ。
「まだまだだな」
「え?」
きっとこのチワワ達は自分が可愛いと自覚しているのだろう。
それは俺の好みではないのだ。
やっぱ、無自覚にあざと可愛い会長が俺的にどストライクなんだけど、それを委員長に言うったらまた拗ねるんだろうな。
1人考え事に耽っていると、袖を引かれた。
「あの、踊ってくれませんか?」
上目遣いで見てくるその子に、なんだか一気に萎えた。
早く会長の約束を果たしたいのにクソ。
そんな思いを隠してニコッと笑顔を向ける。
「ですから、こんな身なりでは可愛い貴方と踊る資格なんてないですよ」
「そ、それでもいいんです!副委員長様、お願いします!!」
引くどころか、一層顔赤くして詰め寄るチワワ。
しまった、笑顔はダメだったか。
「チッ」
思わず出た舌打ちに、後ろから軽く頭を叩かれた。
「ンな怖い顔すんなよ桜月」
「…………保健医」
まぁ叩かれたところでだいたい想像はついていたけど、
「悪いな、こいつ今から俺と用があるんだよ」
そうチワワ達に言うと、は、はいっと次々に散っていく。
「何か言うことは?」
「………助かりました、ありがとうございます」
「おう」
この俺様が、と思ったけど今回は助かったのには変わりない。
「で、お前これからど……」
「直人!」
何か言う途中だったのだろうが、その前によく似た声に遮られた。
あぁやっと気付いたのか。
「……、真人?」
「どうしたんです、委員長」
「鈴原どこ行ったか知らね!?」
慌てる委員長が面白くて仕方がない。
「あぁ、それなら……」
『パーティが始まって1時間したら抜けるから、その後30分くらい二ノ宮君足止めしててくれませんか?』
それが、会長の頼みごと。
あぁ可愛い。
きっと委員長のために頑張ってるんだろうな。
頑張れ会長、頑張れ健気!
「生徒会室に向かうと言ってしましたよ」
ニッコリとそう言う。
ここから生徒会室までおよそ15分、いないとわかって帰ってくるまでに15分。
ちょうど30分。
この時ばかりは馬鹿でかいこの学校がありがたい。
「わり、助かった」
「ぶっ」
そう言って走っていった委員長に思わず吹いた。
その後30分後に戻ってきた後に、散々言われたけど。
まぁちゃんと本当の居場所、というか寮だと説明した。
「俺の出番は終わりかぁ」
「おい」
「あ、先生まだいたんですか」
少し呆れたようにしながらも、頭をぐしゃりとされる。
子供扱いだよなこれ。
「お前、予定は?」
「は?予定はありませんがやりたいことは沢山あるんですよね」
「じゃあ暇なんだな?」
「暇ってわけでもないんですけど…一応風紀副ですし」
「ま、風紀は優秀だから大丈夫だろうさ」
「あのですね、委員長いない今誰が指揮取るんです。こういう時の副ですよ?」
「だぁいじょうぶだよ、んな遠くに行くわけじゃねぇって」
「いや、あんたどこ連れて行こうとしてるんです」
「いーから、付き合えよ」
これは、計算外だ。
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