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いつからか 保健医side
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「………え、は?、…」
何が起こったのかわからないという表情をする桜月。
まぁうん、俺がいきなりキスしたのが悪いけど。
いつもの余裕そうな顔が崩れてしまっている。
ていうか、アホ面。
「あっ、すみません、俺、近すぎたのに気付かなくて…」
平静を装って、偶然というか事故という認識をする桜月。
ーさせるか。
「お前が近かったんじゃなくて、俺がしたの。お前に、キスを」
俺を見る桜月の顔が、だんだんと歪んでいく。
「な、にしてんすか!血迷ったんですか!?ああ違う。これはフラグがやばい。
なんで俺にこんなフラグ来てるんだ俺に来ちゃダメだろフラグ、さっさと折れてどっかいけフラグ…!!」
息継ぎもなしに、一気にそう喋りまくる。
動転してる、のか。
「落ち着け桜月」
そう手を桜月の肩に置こうとした時、
「さっ、わるなぁっ!」
と、思いっきり腕を弾かれ、また思いっきり腹をけられた。
「ぅぐっ!?」
いやこいつの蹴りは洒落になんねぇんだって。
思わず腹を抑えてうずくまる。
「って〜」
「あ、あ、すみませ…大丈夫か、?」
敬語まで取れてるし。
「お前、手加減はしろって…」
「だっ、それは、本当にごめん…」
「もうちょい可愛い反応見せろ、よ…な」
うずくまって下を向いていた顔を上げると、
ーうわ、真っ赤だ
耳まで真っ赤になった桜月がいた。
人の、と桜月はいう。
「勝手に人のファーストキス奪っておいて、何考えてるんですか!」
「何お前初めて?」
「………、悪いですか」
いや、これは、
「嬉しいだろ」
ここはあれか、もう覚悟決めた方がいいのか。
「俺さ、お前のこと……」
「ちょっ、言うな、言うなよ!?」
「…はぁ?」
「あ、そうだ。用事思い出したんで、帰ります」
こいつ、逃げようとしてるわ。
まさか、いつも冷静なこいつがここまで動転するとは思わなかった。
踵を返して、帰ろうとする桜月の腕を掴んで、引っ張る。
「うわっ」
「覚悟しとけよ。またその顔真っ赤に染めてやる」
「っ気持ち悪い、離せ!」
「ひでぇな。ま、そん時は、可愛い顔しろよぐふっ」
皆まで言う前に、思いっきり回し蹴りをくらった。
ーじょ、冗談抜きでいてぇ…。
そのあとは、スタスタと俺の顔を見ずに帰っていく。
「桜月!」
そう名前を呼ぶと、ビクッと肩が揺れたけれど、振り向きはしない。
それでも構わずに続ける。
「お前絶対受けだから!」
そう言うと、勢いよく振り返った。
「うっ、うるさい!
この変態保健医!二度と俺に近づくな触るな話しかけるな!あと俺は受けじゃない、攻めだ!絶対攻めだ!保健医なんて机の角に小指ぶつけてしまえ、ばーか!」
いうことは言った後、走って階段を駆け下りていく。
すぐ後に、「しまったあれフラグだ!」
と聞こえたが。
「はは、なんだあれ」
ひとり、カタンっと椅子に座る。
「やばいだろ、あれ」
確かに中等部の頃から見てきてはいるけど、キスだけであんな反応するとは思わなかった。
蹴られて罵られて終わり、みたいな。
飲みかけだったコーラを一気に飲み干して、はぁーと息を吐く。
やっぱ、
「好きだわ」
いつからだろうか、俺自身がそう気付いたのは。
文字通り血を分けたあいつの事を、兄弟のように思っていたあいつの事を、違うように思い始めたのは。
「早まった、か…」
この腕で抱きしめて、離してやりたくないと思い始めたのは。
少しだけ怯えているようだったのは、まだ過去の事を引きずっているからか。
「けど、」
悪いが諦めてやるつもりは毛頭ない。
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