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追い詰められる 桜月side
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「あの、」
「なんだ」
保健医から突然のキスを受けた次の日。
俺は1人早朝から風紀委員室で仕事をしていた。
はずだった。
けれど、なぜかその隣には保健医がいた。
「なにしてるんですか」
確か昨日、触るな喋るな近づくなと言ったはずなんだけど。
「お前らこんなことしてんのなー」
「………聞いてますか」
おー、と気の抜けた返事が返ってくる。
「手伝ってやろうか?」
「遠慮します」
「コーヒー飲むか?」
「結構です」
「ここ座っていい?」
「ご自由に」
「見てていい?」
「邪魔しないなら」
「そこの飴、食っていい?」
「どうぞ」
「お前もいる?」
「あとで食べます」
邪魔するなと言ったそばから、思いっきり邪魔してくる保健医。
ーうるさい。
集中できない。
これじゃ早く来た意味がない。
というか、余計効率が悪い。
「なぁ、」
「あんたね、ちょっと黙っててくだ、んっ、」
喋っている途中だというのに、またあんたは無遠慮にキスをする。
「キス、していい?」
「やった後に聞くなよ馬鹿!」
「いってててて!!!!」
俺の頬に伸びていた手を弾き、そのまま後ろに捻り上げる。
「っはぁ、」
保健医の手を離して、溜息を吐きながら深く椅子に座る。
「肩外れたらどーすんだよ」
「保健医なんだから、自分で治したらどうですか」
「もうちょっと可愛げのあること言えよなー」
「すみませんね、可愛いげがなくて」
こんな、可愛げのないことしか言えない俺のどこがいいんだ。
仕事は諦めて、ガタと席を立つ。
「俺、教室戻ります。先生も戻ってください」
軽く散らばったプリント類をまとめて、机を整理する。
「桜月」
「なんですか。ほら、行きますよ出てください」
電気を消そうと壁に近寄ると、
「桜月」
「っ」
思ったよりも近くで保健医の声がした。
「なん、ですか」
これは、振り向いたら負けな気がした。
コツ、と足音が聞こえたのは、すぐ後ろ。
電気を消すためにスイッチに手をつけていた手に、保健医の手が重なる。
なんで、なんでこんなの振り払えばいいのに。
耳元で、保健医息遣いを感じる。
「ちっ、近い!離れろ!」
「無理」
くそ。
また、あんたのペースだ。
保健医の右手は俺の右手に重なって、左手は俺の顔の横に着く。
後ろ壁ドンみたいな。頼むから別の相手にやってくれないかなそれ。
桜月、と呼ばれる。
「う、るさいな、どいてください」
「ならお前からキスしてくれるか?」
「は?なんでそうなるんですか」
「それともこのまま?」
「つ、付き合ってるんじゃないんですから、そういう風にからかわないでください」
ぐっと、また一歩保健医が近づく。
「なら、付き合ってくれんの?」
あんたはいつもそう、そうやって俺を振り回す。
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