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好きなんかじゃ 桜月side
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壁と保健医に挟まれて、後ろから保健医の声がする。
「ふ、ざけないで…」
「ふざけてねぇよ」
わかってるよ。
あんたがふざけてないことなんて。
その顔を見なくてもわかってる。
また、昨日みたいに珍しく真剣な顔でもしてるんだろ?
わかるんだよ。
だって、声が真剣だから。
けれど、決めたんだ。
あんたにこの気持ちは明かさないって。
俺じゃ、あんたの隣にはいられないって。
だから、
「っやめてください」
誘惑しないでくれ。
「なんで」
そんな、甘い声で、
「桜月」
優しい声で、
「っ」
気持ちを揺るがせないでくれ。
ギッと、唇を噛む。
「あんたなんか好きじゃない」
こんなこと言わせるなよ。
「俺はまだお前を好きなんて言ってねぇんだけど」
「そ、れは…」
「てか、言わせてもらえなかったんだけど」
聞けるわけない。
聞いたら気持ちが、せっかくの決心が全て水の泡になる自信しかなかったから。
「桜月」
「な、ん、ですか…」
また一つ、保健医の声が低くなる。
「好きだ」
「っ」
ぎゅっと目を瞑る。
「お前が好きなんだよ」
「…………」
言うな。
それ以上言うな。
「気づいたらお前のことしか考えてない」
きっと、無理やり俺を振り返らせないのは、俺が今どんな顔してるかわかってるから。
「お前は、どうなの?」
「っ、おれ、は…」
俺は、俺だって。
あんたのことが……
「…き、じゃない」
「うん」
「あんたの事なんて、好きじゃない…」
「そっか」
震えている俺の声に、あんたは気づいているだろうか。
「だか、ら…」
「けどさ」
今まで振り返らせずに、後ろから話してたくせに、いきなり肩を持って反転させられる。
背中を壁に叩きつけられた後、強引に唇を合わせてきた。
「っん!?、っふ!」
ねじ込まれる舌を、必死に追い出す。
「っはぁっ、ふざ、け…っ」
睨むとその整った口を歪ませて、ペロリと舌を出す。
「お前が素直になるまで待つ、…なんて言わねぇよ俺は」
「は、?」
「そのつもりだったけど、気が変わった」
なに、言ってんだこいつ。
「なに深く考えてんだか知らねぇが、素直になりそうにないからな」
「俺は、好きじゃないって…」
言った、はず。
「好きだよ。お前は俺が好きだ」
「なんで、」
「いつから見てると思ってんだ馬鹿。お前は俺のモンだからだろ」
あぁ、委員長が羨ましい。
こいつが、本当の兄貴だったらどんなに良かった事か。
「だから、待たない」
どうやら俺の好きな人は、
「そんな素直じゃない可愛いお前から、俺が好きですって、吐かせてやる」
全部、お見通しなようだ。
「好きじゃないって、何回言えばわかるんですか」
「俺は好きだよ」
「っ」
んっとに、調子狂う。
口角をあげて、保健医を見やる。
「言っとくけど、」
あんたより俺の方が
「ホントに好きじゃ、ないから」
好きじゃない。
好きなんかじゃ、足りない。
ずっと長くて強く、
「愛してるって言いたいのか?」
「違うわ変態保健医」
「ははっ、ひでぇなぁ」
あんたを想ってる。
ずっと強く慕ってる。
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