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ひとり保健室
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「は、橋倉くん!もう大丈夫だから!」
お姫様抱っこで保健室まで連れてこられる道中、僕の羞恥は限界を迎えました。
だって、昼休みだよ!?
みんないるって!!
「動けないのに何が大丈夫なのさ?」
ぽふ、といつ保健室に着いたのかベッドの上に下ろされる。
「ご、ごめん、ね」
「かいちょー、出来れば違う言葉がいいな?」
「?……あ、ありがとう」
「うんうん、いいんだよ?」
と、なぜか頭を撫でられる。
いやだから恥ずかしいって!
「そういえば、保健の先生は?」
「んー?なんかいなかったよ」
「あ、この時間はご飯かな」
保健室は僕ら以外誰もいないのか、しん、と静まり返っている。
「まだ動けそうにない?」
「さっきよりは大丈夫だけど、起き上がるまでは、無理かな…」
「なら、次休んでていいよ。寝てなよ」
まだ僕の頭を撫でながら、微笑む橋倉くん。
さすがに、イケメンが微笑んだら破壊力凄まじいですね。
「だ、だめだよ!まだ仕事残ってるのに」
「大丈夫だよ。俺らでなんとかするから」
それに、最近寝てないんでしょ?
う、気づかれてた。
仕事は終わらないときは部屋に持って帰ってしてたけど、ここ最近だけなんだけどな…
「そんなに俺ら、信用ない?」
「え?」
すごく、寂しそうな顔で僕の顔を覗き込んでくる。
いや、とブンブンと頭を振る。
「そんなことない!むしろいつも助けられてるのは僕の方なのに」
「わかったから、落ち着いて!危ないよ」
みんなを信用ないなんて、そんなことはない。いつも仕事してくれるし、現に今だって助けてくれてるし。
どちらかといえば、それはこっちの台詞なのだ。
にしても、と橋倉くんは口を開く。
「ずいぶん真ちんに嫌われてるねぇ」
「ま、真ちん?」
「あ、真人だよ、風紀委員長。中学ではかいちょーだったでしょ?俺らも役員だったから仲は良かったんだー」
あ、そうか。そうなるんだよね。
でも、さっきのはあんまり仲が良さそうに見えなかったのは、もしかして、僕のせい、かなぁ。
「かいちょー、今自分のせいとか思ってんでしょ?」
「え、いたっ」
ピン、と僕のおでこにデコピンをされた。
じ、地味に痛い。
「かいちょーのそーゆーとこ、ダメだと思うなぁ」
そういうとこ?
顔に出てたのか、橋倉くんはすぐに足してくれた。
「自分で抱え込んじゃうとこ?」
「そんなつもりないけど…」
「わかってないのが1番ダメなんだよなぁ」
さてと、もういくね、と席を立つ橋倉くん。
あ、仕事あるから、かな。
「転校生の面倒もあるしね」
そういう橋倉くんの顔は、なんだか楽しそうだ。
橋倉くんも、あの転校生を気に入ったのだろうか?
僕は正直ちょっとトラウマなんだけれど。
「じゃ、また来るねー」
バイバイと手を振る橋倉くんに僕も手をふり返す。
パタンとしまった扉の外からスタスタと足音が遠ざかり、保健室は静寂に包まれる。
「……寝よう」
寝不足のせいで思考に霧がかかってきて、瞼を下ろす。
起きた時には動けるようになってるといいな
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