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孤立の一歩
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「ど、どうなってるの、これ……」
保健室から生徒会室に戻ってきたはいいけどさ、なんでこんなに散らかってるの。
書類はバラバラで床にも落ちてるし、お菓子の袋なんかがそこらじゅうに散らばっている。
紀田くんがいながら、どうして。
普段、生徒会室の掃除係といえば紀田くんだ。
たまに僕もする時があるけど、うん、たまにだ。
そんな紀田くんはといえば、扉を開けるとお帰りなさいと笑顔で言いながら転校生くんと喋ってました。
……なるほどね。
よく見ると、紀田くんとは反対側の隣には藤塚くんが座っていた。
橋倉くんは1人机でせっせと書類を片付けている。
「き、紀田くん。あの、仕事は?」
「あぁ、まだでしたね」
「まだって、今日提出のもたくさんあったよね?」
「そ、そうですが…転校生のお世話の方が大事だと判断しました」
え、えー
戸惑いで引きつる顔をなんとか出さずに、隣の藤塚くんに尋ねる。
「藤塚くんも、仕事は?」
「れ、んが、、しなくて、いぃゆった」
ん?んんん?
もしかして藤塚くんも転校生くんの虜になっちゃったのかな。
てゆか転校生くん、何言ってるんですか?
「お前、どこいってたんだよ!」
突然大声で大原くんが僕に言った。
しかも、お前呼びって……
「お前がいないせいで、成が遊べないんだ。ちゃんと仕事しろよな!」
「ちょっとー、違うからね、蓮。
これ元から俺の分だから」
違うと否定しながらもその顔と声はとても優しくて、ギョッとする。
そのまま僕の方を見て微笑む。
「おかえり、かいちょ」
「あ、うん。ただいま…」
戸惑いを、隠せない。
どうやったら、ものの1時間でこうまでなるんだ…。
でも、今日までに出さなくちゃいけない書類はいっぱいで、遅れたらまた風紀が大変になる。
それだけは、避けないと。
お、怒られるし……
「橋倉くん、僕もやるよ」
僕も机に腰を下ろして、プリントを取る。
「あ、ごめんね、かいちょー。病み上がりなのに」
「病み上がりってことではないから、大丈夫だよ」
「んじゃ、後よろしくねー」
「、え?」
僕は一緒に仕事する気だったんだけど橋倉くんは途中の資料まで放置して転校生くんのところに行ってしまった。
向こうのソファでは、転校生と紀田くんと藤塚くん、さっき加わった橋倉くんですごく楽しそうだ。
「待って、さすがにこの量は僕一人じゃ無理だよ。せめて自分の分は…」
「その間、蓮を放っておけと言うのですか?無理ですよ」
ベビーシッターか
「俺さっきまでしてたよー」
終わってないけどね
「まだ、れんと、いる」
あー、もう
「わかった。なんとかするよ」
僕が俯いてそういうと、紀田くんたちは満面の笑みでありがとうございますと言って、生徒会室から出て行く。
蓮を校内を案内してきます、と言って。
あぁ、また二ノ宮くんに怒られる。
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