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モーニングコールは沈黙で
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「ー会長。鈴原会長」
「、ん、」
肩を揺すられ、落ちていた意識が浮上する。
「…….あれ、なんで桜月くん?」
あぁそうだ。仕事が終わらなかったから昨日はずっと生徒会室にいてそのまま寝ちゃったんだ…
僕の顔を覗く桜月くんの顔は、険しい。
「こんなところで寝ると、風邪ひきますよ」
「うん。桜月くんはどうしたの?」
いくら風紀とはいえ、こんな早朝からの仕事はないはず、しかも、生徒会室になんて。
「風紀委員室に忘れ物を取りに来たのですが、帰る途中ここから明かりが見えましたので」
なるほど。意外と抜けてるところもあるんだな、桜月くん。
あ、そうだ丁度いい。
「これ」
出来上がった資料を机におく。
「遅れちゃって、ごめんなさい」
頭を下げるけど、いっこうに返事が返ってこない。
やっぱり、怒ってる、のかな。
ちらり、と桜月くんの表情を伺えば若干目を見開いていた。
「これ、1人で全部終わらせたんですか」
「?そうだけど…」
とゆうか、1人しかいなかったんだけど…
桜月くんは少し考えるように黙り込んだ後、ぱっと顔を上げた。
「会長、どのくらい寝ました?」
「え?……い、1時間くらい?」
なんだか本当のことを言ってはいけない気がした。
でも、桜月くんはスッと目を細めて
「嘘ですね」
と言った。
即答でしたよ。即バレでしたよ。
本当のことを言ってください、と急かす桜月くん。
なんとか1時間だと言い張るも、返ってくるのは沈黙ばかりで
「じ、10分です…」
ーー僕が負けた。
「え、ちょっ!?」
はぁとため息をついた桜月は、僕の手を掴んで隣にある仮眠室に連れて行った。
「仕事も大事ですが、1番は体調です」
「は、はい…」
「会長今日も学校行くんでしょう?
まだ学校が始まるまでは時間がありますので、寝てください」
「はぃ…」
なんだか説教されているようで、ベッドに正座してうなづく。
それでは、おやすみなさいと桜月くんが出て行った部屋はしん、としていて、生徒会室のドアを閉めた音が聞こえた。
大丈夫だよね、今日はくるよね、紀田くん達。
もうそろそろ体育大会の時期だ。
それに比例するように仕事の量も多くなってくる。なんとか昨日と今日は1人で終わらせたものの、今後は多分きついだろうと思う。
大丈夫、くるよね。
「……、寝むい」
2日間徹夜した体はやはり限界を訴えていて、布団に横になった瞬間、睡魔が襲ってきた。
それに逆らうことなく瞼を閉じる。
けれど、その日も、次の日も、その次の日も。
紀田くん達がやってくることはなかった。
最初は報告があったのに、今では何も言ってこない。
二徹、なんて優しいものだったのだ。
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