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体調の忠告
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「遥さんっ!」
「ん、実?」
紀田君たちと決別してから、というか一方的に決別されてから数日。
桜月君のおかげでなんとか仕事はやれてるけど、おととい、初めて授業免除を使った。
それから今日まで授業には出ていない。
てか、出られない。
1人仕事に追われる中、職員室に提出資料を出しに行った帰り、可愛いすぎる僕の親衛隊隊長に話しかけられた。
「どうかしたの?」
「あ、いえ、、あの……」
なぜか気まずそうに視線を逸らす実。
珍しくな、と思った。
どちらかといえばハキハキしている方の実が話を始められないなんて、と。
けれど、
「あの、最近遥さんが職務怠慢、職権乱用しているとの噂が広まっているんですが…」
意を決したように顔を上げた実の口から出てきた言葉は衝撃だった。
「職務怠慢、職権乱用って?」
「仕事をせず、正当な理由以外で会長の権限を使っているとか」
僕はそんなことないって、わかってますけど!と泣きそうな顔で言われてしまった。
不謹慎だけど、うん、めちゃくちゃ嬉しいよ実。
「その噂の出所って、わかる?」
「話が出たのは例の転校生からだと聞いています」
「………」
まじか。
あんにゃろう、好き勝手に言ってくれちゃってるのか。
てことはあれか。
紀田君たちみんなで考えたんだろうな。
はたしてあの後、どんな会話が繰り広げられたのやら。
想像しただけで怖いよ。
「その、親衛隊などは大丈夫だと思うのですが、気をつけて下さい」
なるほど、それを言いに来てくれたのか。
「うん、ありがとう。」
笑って僕より少し低い実の頭を撫でる。
でもその顔はとても悲しそうで、何かに耐えていた。
「もう戻ったほうがいいよ、本当にありがとう。またね」
これ以上一緒にいて、親衛隊以外の誰かに見られたら実が危険かもしれないから。
はい、また。と言って遠ざかっていく。
察しがよくて助かります本当。
「それにしても、い、いい子すぎる!」
廊下のど真ん中で悶えてしまい、一人恥ずかしくなってしまったことは、内緒だ。
「さて、癒されたことだし、仕事しますか」
実が言った「気をつけて」の意味を深く考えなかったことを後悔するのはもう少し先。
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