アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
任せろ、なんて
-
あれから、二ノ宮くんが僕を認めてくれると言ってから、少しだけ態度が変わった。
褒めてくれたり、笑ったりはあんまりしないけれど、前みたいに怒鳴ったり侮辱するような言葉は言わなくなった。
あとたまに優しかったり…。
なんというか、それはそれでむず痒いというか。
「なんだか嬉しそうですね」
「ぅえっ!?」
生徒会室にきた桜月君に突然話しかけられて変な声が出てしまった。
は、恥ずかしい…。
「びっ、くりした…」
「はは、すみません」
うわぁ、笑ってるというか、悪戯っ子みたいな笑い方というか。
どっちにしろ、イケメンなのには変わりない。
それで、
「何かあったんですか?
うちの委員長もここのところ機嫌がいいみたいなので、会長知りません?」
「二ノ宮くんの?…ん、わかんないけど」
僕は二ノ宮くんと和解?したのことは嬉しいけれど、二ノ宮くんにとってはそれは些細なことでそれが機嫌の良さに繋がるわけない。
そうですか、という桜月君は凄く楽しそうに笑ってた。
「う、うん。
そういえば、何か用事だったの?」
なんかものすごいこと考えてそうなその笑顔に、僕は思わず話題を変えた。
「あぁ、委員長からの伝言です。
『今回の体育祭は風紀に任せろ』
だそうです」
「え?」
体育祭。
学園の行事の中でも特に盛り上がる行事。
それは、今週末に迫っていた。
さすがに仕事が多くなり1人じゃできなさそうだと、悩んでいたところ、二ノ宮くんが優秀な風紀委員を2人手伝いに寄越した。
2人って言うか、双子だ。
栗原 昴(すぐる:兄)と、透(とおる:弟)
その2人も僕と桜月君のやり取りを元は副会長と会計の席を使って見ている。
「はい。準備、進行、警備、管理は任せろ、と」
「え、でも……、さすがにそれは…」
「こんな状態の生徒会に今体育祭はキツイだろう、と。僕もそう思いますよ、会長」
「そ、それもそうだけど…」
どうしようかと、いやどうしようもないんだけど……。
答えは決まってるのにはっきりと答えることができない僕に助っ人双子が近づいてきた。
「はるちゃん、委員長が任せろって言ってるんだ、任せよう。」
「え、昴くん」
兄の昴くんはしっかりさん。
顔もきりりとしてて剣道部に所属してる武士系なイケメンさん。
「あの委員長が任せろ、なんてね。
ここは甘えとこうよ、はるちゃん」
クスクスと笑いながら言ってくるのは弟の透。クリッとした目をしてて茶道部に所属してるしっかり可愛子さん。
どちらも主将で名家の子供たち。
「どうしますか?会長」
勝ち誇ったような笑顔で見る桜月君と真顔で見る昴くん、ニコニコして見る透くんにまけて、僕はうなづいた。
「……お願いします」
「それは直接委員長に言ってくださいね」
まぁ、そうだよね。
頼む立場なんだし
よし、後で行こう。
でも体育祭以外でも仕事はあるわけだから、ちゃんとしないと。
「でもいいの?昴くん達も風紀なのに」
昴くんは剣道部だから風紀のちょっと手荒い仕事の時は活躍してるっぽい。
「いや、今は生徒会として活動しているからな」
さすが武士。一つのことに忠実ですな。
かっこいいです。
「僕は基本雑用だったし、大丈夫だよ」
ふふ、と笑う透くん。
実も可愛いけど、可愛いですな。
僕って実は可愛いのに弱いのだろうか?
「残りの仕事しよう(か)、はるちゃん」
そもそもなんではるちゃんなんて、可愛らしい名前で呼ばれているかというと、事は昨日にさかのぼる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 256