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体育祭
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「……、では、怪我をしないように楽しんでください」
そう微笑んで言えば、周りからはおぉーー!!とさすが男子校、雄叫びが上がる。
今日は全校生徒が前々からそわそわして待っていた体育祭。
二ノ宮くんから体育祭は任せろと言われてから、助っ人の双子や桜月君に説得されてとりあえず始まりと終わりの挨拶だけすることになった。
「お前ら、頼むから面倒起こすなよ」
当の二ノ宮くんは風紀委員長として挨拶する。
僕と違って黄色い歓声でした。はは……
「はるちゃんお疲れ」
「あ、昴くん、透くん。ありがとう」
まだ始まったばっかりだけどねと笑う。
双子は風紀のテントにいるけれど隣接してるからあまり距離はないんだけど。
お疲れとニコニコ笑いながら後ろから座ってる僕の首に巻きつく透くん。
「わっ、と、透くん!?」
「こら、はるちゃん困ってるだろ」
「へへー、羨ましい?」
そう聞いた透くんが見ていたのは昴くんではなく、その向こう側。
風紀委員のテントに座ってこっちをじっと見ていた二ノ宮くんだった。
「何がだよ」
と言ってふい、と顔を背けた。
「照れてるんですよ」
「あ、桜月君」
ふい、と僕の横から顔を出した桜月君。
ふふふ、と笑う桜月君はお疲れ様ですと僕の隣に腰掛けた。
本来は副会長の席であり、昴くんや透くんが今座っている席も会計と書記の席。
本人たちは結局体育祭には来ていない。
来てるかもしれないけど、会わないのだからどうしようもない。
会って、何をすればいいのかわかんないんだけど…。
二ノ宮くんは「気にするな」と言った。
言ってくれたけど、体育祭は参加必須行事だ。
大丈夫、なのかな。
「会長、今日は楽しみましょうよ」
自然と俯いてしまった僕に肩をポンポンと叩きながら微笑んでくれる。
気を遣わせちゃった、かな。
「うん、少なくとも今は、楽しまなくちゃね」
はい、と笑う桜月君は双子を連れて風紀側のテントに戻っていった。
「あーあー。テステス。マイクテースト!」
程なくして明るい声がグラウンドに響き渡った。
こういう行事の放送は、放送委員会がしてくれるから、放送委員の誰かだろう。
「さぁ始まりました体育祭!
まずは全学年100m走!!!!
代表者には頑張ってもらいましょう!
次は借り物競争ですよ!選手は校舎側に集まっちゃってください!」
……、あんなに適当でいいのか。
あれ、確か僕借り物出るような……
やば、行かなきゃじゃん!
簡単なものでありますように!
生徒会だとか、風紀だからとかで体育祭は免除は許されない。
しかも、必ず1つは種目に出ないといけないから仲良くなるチャンスとみんなは浮き足立っているのだ。
それで親衛隊関係だとか、暴行関係の事件が多くなるのも否めない。
そのせいで風紀の仕事が多くなって、この時期の風紀はピリピリしてる。
だから任せたことが気がかりでしょうがない。
でも、二ノ宮だったらなんとかしてくれるって思ってる自分もいるんだ。
とにかく、今は信じるしかできないから。
1人でそんなことを考えながら、借り物競争集合地点に着いた。
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