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借り物競争
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種目決めの時、僕は生徒会室にいた。
だから僕が選べる権利なんてないのに、みんなは僕が運動があまり得意ではないと知っていたことから、あまりダッシュとかしないものをキープしておいて選ばせてくれた。
僕が選んだのは借り物競争と障害物競走。
どちらも、なんというか……運だ。
クラスのみんなには何回も頭を下げすぎて、ちょっと怒られたくらいだし。
土下座したいくらいなんだけどな…
パン!とピストルの音がなって僕の前に並んでいた人たちがスタートした。
係員さんが「次の人ー、この線まで来てくださーい」との言葉に従って前に進む。
さっきから見てるけど、借り物ってものだったり人だったり色々あるんだな……
と思ってたら、肩をトンッと叩かれた。
「会長!スタートしてますって!」
「え!?あっ!ごめんなさい!」
まさかのまさか、ピストルの音に気づかず出遅れにしては遅すぎなスタートを一人できる。
後ろからクスクス聞こえてきて、物凄く恥ずかしいんですけど!
まず50m走って、待ち受けている係員さんにじゃんけんで3回勝つ。
先に進むと裏返された紙があって、それをめくると借り物が書いてある。
「えっと、、んん??」
これは……どうしようか。
とりあえず周りを見回してみる。
「んー、これはどういう意味なんだろう?」
よし、一か八かだ。と気合を入れてふさわしいと思った人のところに駆け寄る。
「ごめんね、借り物なんだけど…一緒に来てくるふかな?、桜月君」
僕が呼んだのは桜月君。
断るなんてことはしないと思ってたけど、予想通り、俺ですか?いいですよ。と言って笑いながら手を握った。
「え、さ、桜月君!手!」
「こっちの方が面白いですって」
笑いながら手を引いて走る桜月君について行くのが精一杯で、ゴールテープを切った時には僕の息は切れまくっていた。
「はっ、はっ、さ、くらづきく、速っ」
「すみません会長。やるなら1位を、と思いまして。大丈夫です?」
「だ、大丈夫に、見えますか?」
ハァハァと手を膝について下から桜月君を見上げる。
「わぁお、それ委員長にしてあげれば良いのに」
ボソッと言った桜月君の言葉は僕には届かなかった。
「1着は会長ですねー!最下位からの逆転劇面白かったです!」
いやほとんど桜月君なんだけど……
「ではでは、借り物は?『好きな人』ですかぁ!
ってえぇえぇえ?!」
えぇえぇえ?!と周りからも驚嘆の声が上がった。
「…会長って、俺のこと好きだったんですか…?」
珍しく驚いたような顔をして僕を見る桜月君に笑ってしまった。
「うん。しっかりしてて、優しくて好きだよ」
そう言うとみんな、あれ?という顔をした。
「恋愛感情ではなく?」
「え、あ、人として?」
あーとみんな若干雰囲気が下がる。
「俺にフラグ立てないでくれよ…」
「ん?」
ボソッと聞こえた桜月君の声はなんて言ってるかは聞こえなかった。
すっといつもの表情に戻って「いえ」と笑う桜月君にんん?と首をかしげる。
「まぁ、間違いではないですから、大丈夫ですよね?」
その顔のまま係員さんに問う。
「あっ、だ、大丈夫です!」
イケメンに微笑まれた効果だろうか。
顔を赤くして何度もうなづいてくれた。
きっと紙に書いてあった「好きな人」は恋愛としてだと思うけど、桜月君のおかげて助かった…
もちろん桜月君のこと好きだけどね。
恋愛感情では、ないけれど。
恋愛感情、と考えたときなぜか頭の中に浮かんだ人にますます首をかしげた。
はて、なんで二ノ宮君が出てくるのだろう?
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