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疑惑
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「大原君、大丈夫?大原君」
ぐったりと横たわる大原君の肩を揺する。
少しすると「んっ」と声を立てて薄く目を開いた。
「おま、え。遥?」
「うん。大丈夫?」
僕より傷の多い大原君は、動くのすら辛そうだ。
「今二ノ宮くん呼ぶから、少し待ってて」
携帯を取り出そうとした時、大原君がピクッと動いたのに、僕は気づかなかった。
「……あ、二ノ宮くん?ごめんね。
裏庭のとこなんだけど…うん、ちょっと怪我しちゃって…。え?だ、大丈夫だって!
大原君もいるんだ。うん、宜しくね」
パタン、とケータイを閉じてポケットに入れる。
「すぐしたら、迎えに来てくれると思うんだけど…」
「真人が来るのか?」
「うん」
それより傷、少し見せてと言って大原君に近づくと、パンっと手を払われた。
「触るな」
「え、でも…」
「触るな触るな触るな!」
「お、落ち着いて大原君!」
いきなり暴れ出した大原君にびっくりしてなだめようと肩に手を置く。
「だ、大丈夫だから!」
殴られたことで怖いのだと思った。
父さんの時の僕と、と同じだったから。
「やめろっ!嫌だっ!!」
肩を持ったまま暴れる大原君を少し強く止める。
「鈴原!」
その時、二ノ宮くんが来た。
その隣には桜月君もいる。
会長の僕が怪我をしたってことで、二人とも来てくれたらしい。
「真人!」
さっきまで暴れていた大原君は二ノ宮くんの姿を見た瞬間、その人に抱きついた。
「あ、」
「真人っ!真人真人!」
「あー、はいはい。もー大丈夫だ」
泣きつく大原君に背中をポンポンと叩く二ノ宮くん。
あ、なんか、やだな…。
「会長、大丈夫ですか?」
「えっ?あ…、うん。大丈夫だよ」
スっと僕の隣に来た桜月が尋ねた。
「何があったんですか?」
「それが……」
ここまでの経緯を説明すると、桜月君は深い溜息を吐いた。
「龍……、上野龍ですね。また厄介な…」
「それで止めようとして巻き込まれたってか」
「うん、まぁそういう事になるのかな」
「違う!真人コイツ嘘ついてる!!」
二ノ宮くんの裾を掴んで、泣きながら僕を指差す大原君。
「どういう事だ?」
「僕が殴られたのはお前のせいだって、俺にまで、俺にまで殴ってきたんだ!」
大原君の口から出た事に、僕の口は開いたままふさがらない。
「待って僕、そんなことしてない…」
「待て、コイツはそういうことする奴じゃない」
二ノ宮くんは僕をかばってくれる。
「真人は!コイツに騙されてるんだ!」
「待ってください。お互い混乱してますし、取り敢えず保健室に行きましょう」
傷の手当もしなくちゃなりませんし、と。
保健室……、い、行きたくないんだけど
そんなこと思っても状況が状況だし、反論はできないっぽい。
2人に連れられ、僕と大原君は保健室に向かった。
その間、大原君はずっと僕を睨んでいた。
その理由を僕は知らない。
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