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頭と頭
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「あいたたた……」
保健室から戻って、僕は自分で傷の処置をしていた。
生徒会室にあった救急箱があって、助かった。
消毒しみるけど…
仕方がないから、体育祭終わるまでここで仕事でもしていようかな。
と思い、誰もいない生徒会室で1人、ピラピラと紙をめくっているのだ。
「そういえば、誤解解いてないな」
ふと手を止めて思った。
二ノ宮くんたちが助けにきてくれた時、大原君は僕も彼を殴ったと言った。
その時は桜月君が話を終わらせ保健室まで連れて行ってくれたけれど、僕がここに来てからは大原くんがどうしているのかはわからない。
ま、いいや。と思ってしまったことをすぐに後悔した。
バンッ!と突然ノックもなしに扉を開けた音がした。
仕事をし始めてから2時間弱。
僕は驚いて手を止め、音のした方を見た。
「上野、くん?」
そこにいたのは僕以外の生徒会や風紀に負けないくらいの美形。
金髪に染められた髪はどうしてかサラサラしてて、耳にはいくつかのピアス。
F組の頭、上野龍。
なぜ彼がここにいるのだろうか。
そしてなぜ凄くご機嫌斜めなんだろうか。
上野君は誰が見ても不機嫌というような顔をしていた。
いや、美形は美形で変わりないんだけど、さすが不良、めっちゃくちゃ眩んだら怖いです。
F組のみんなから認められてる上野君は普段は温厚な方だと聞きている。
喧嘩はするけど、売られた喧嘩しかしないと。
「上野君、何か用事でも?」
机に座っている僕の目の前までつかつかと歩み寄ってきて止まったまま何も喋らない。
「?上野く……」
「蓮を殴ったのは、本当か」
低く、地声の特徴なのだろう少しだけ甘さを含んだ声色で上野君は問うた。
大原くんを、殴ったのか、と。
「そんな記憶はないけれど…」
言った瞬間机を蹴られた。
ドゴっと一瞬机が浮く。
うわぁ、あれは痛そうだ。
「たばかるなよ。ネタはあがってんだ」
「どこから?」
僕が騙しているとでも言いたいのだろうか。
僕が聞きかえすと、上野君は話し始めた。
まぁざっと、保健室から大原くんが戻った後、大原君は上野君のところに行ったらしい。
そこで、大原くんを殴った不良のことを話し、僕のことも付け加えたらしい。
"お前のせいだと殴ってきた"と。
「紀田たちを蓮に持ってかれたからってよぉ、やっちゃいけねぇことがあんだろ」
さっきよりもまた低い、ドスのきいた声で話す上野君。
ちょっと、ビビりましたはい。
「僕も、一応被害者の方なんだけど…」
「それはあの馬鹿どもから聞いた」
どうやら、僕らを殴った不良さん達は、とっくに捕まって教育済みらしい。
「だがなぁ、蓮の方がお前より傷が多いんだよなぁ」
どうしてだろうな?と聞いてくる上野君の顔はどこか確信を持っている。
それは僕は1人から殴られ、大原くんは2人から殴られたからだ、なんて言えなかった。
「っ!?」
ぐっと、胸ぐらをつかまれて机越しに近づく。
「会長様だからって、なんでもしていいってわけじゃ、ねぇよな」
「ちっ、ちがっ!」
掴まれた胸ぐらが苦しくて、反論できない。
息が、と思った瞬間「何やってる!」と声が聞こえた。
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