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安堵と訪問
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「始めっ!」
先生の合図で全員一斉に机にある紙をめくる。
テスト3日間だけ生徒会の仕事は無い。
カタン、と開始の合図から30分少しでシャーペンを置いた。
今回はいつも以上の勉強のおかげか、スラスラ解けた気がする。
3日前の夢から僕はテストが終わった後の夏休み、予定にはなかったけれど一度家に帰ろうと決めた。
廊下に張り出された結果にふ、吐息をつく。
結果は5位。
会長としては低いほうなんだろうけど、万年10位以上とったことがなかった僕にとってはとても嬉しい結果だ。
正直飛び上がりたいくらいなんだけど、周りの目がね、うん。
ちなみに1位は二ノ宮くん。
2位は桜月くん。
3位はうちのクラスの委員長。
4位は紀田くん。
二ノ宮くんとか、桜月くん、紀田くんはさすがだけど、委員長……すごっ!
メガネをはめたいつも手に本を持っているメガネ美人な委員長を思い浮かべた。
尊敬します。
結果を見終わったら、すぐに入る夏休みのために部屋に戻って少しだけの荷造りをする。
明日からはすぐ夏休み。
それから数日間休みをもらうことは双子達には言ってある。
「いきなり帰ったら、父さん怒るよな…」
唯一の心配は父さん。
家を出るとき、必要以外は戻ってくるな、と言われたけれど、夏休みはこれに該当しない。
つまり、必要ではい。
それに、1日で帰りたいところだけど、距離が距離でそうそう帰れないから3日か4日は泊まらないといけないだろうし……
「はぁ」
けれど、今回の目的は母さんだ。
「できるだけ早く帰ろう」
準備も終わってゴロンとベットに横になった。
体は睡眠を求めているのに3日前から眠れない。
これ以上続くと本当に危ないだろうから、すっきりさせたい。
ベットでゴロゴロしていると突然扉のベルが鳴った。
「はい」
扉を開けると扉の前にいたのは大原くんだった。
「大原くん?ど、どうしたの?」
なぜ彼から僕の部屋に来るのだろう。
「と、とりあえず入る?」
そう促すと何も言わずに部屋に入ってきた。
ソファに座った大原くんに紅茶を出すと、それまで黙っていた大原くんが口を開いた。
「真人から離れろ」
「………は?」
ギリ、と睨んでくる大原くんの考えがわからない。
「もう真人とは関わるな。いっつもお前ばっかり……」
「ちょ、ちょっと待って!言ってる意味がわからないんだけど……」
「お前なんか、真人に嫌われてたくせに」
どんな媚を売ったのだ、と。
その目は少しだけ潤んでいて。
あぁ、そうか、と気づいた。
大原くんは二ノ宮くんが好きなのだ。
前々から感じていた違和感はこれだ。
でも、今大原くんが感じている不安はきっともう解決されてる。
「大丈夫だよ。多分もう関わることほとんどないから」
その証拠に3日前から一度も会っていない。
「そんなこと、信じられるかっ!」
「え、うそ、大原くん!?」
信じられるかと怒鳴った大原くんは、まだ冷めていない熱い紅茶を頭からかぶった。
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