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悪夢の始まり
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「あらあら、もしかして遥は私が知らないと思っていたのかしら?」
母さんの言葉に固まる僕は、頭の中で妙に冷静だった。
「やっぱり、知ってたの?」
「んー、知ってたって言うより、ここに来る前からわかってのよね」
顎に人差し指を添えてコテン、と首をかしげる母さん。
もう先は、言わなくてもわかった。
つまりあの夢は間違っていなかったのだ。
「そう、ですか。それだけです、僕はもう戻りますね」
何泊かする予定だったけれど、その気が失せてしまった。
要件は済んだし、もう帰ろう。
あら、もう?と言う母さんに背を向けて、扉を開けようとした。
したけれど、その扉は僕の手が触れる前にガチャリと音を立てて開いた。
え、と思うと同時に後ろから「あらあなた、お帰りなさい」と聞こえた。
俯いていた顔を上げる。
まさか、
「と、父さん……」
なんで、ここに。
仕事に行っていたはずだ。
「今お前を帰らせるわけにはいかんな」
「どうして、ですか」
ヒラリ、と僕の前に紙を見せた。
先日の学園の生徒への暴力行為により、謹慎を命ずる。
証人:紀田翼、二ノ宮真人
理事長
「学園内の自由は認めていたが、迷惑はかけるなど言ったはずだ。これはどういう事だ?」
どうやらあの後紀田くんや二ノ宮くんは理事長に報告したらしい。
ありもしないことを。
今日僕が部屋にいないことを知って、そのまま家の方へ送ってきたみたいだ。
「謹慎?まぁ、あなたも男の子ね」
ふふふ、と笑う母さんとは対照的に、冷たい目で僕を見下ろす父さん。
「謹慎は、寮に戻ってからします。
し、失礼します」
父さんの目はいつもより冷ややかで、凄まじい悪寒にヤバイと思い部屋を出ようとした。
けれど、
「っ、」
「どこへ行く」
隣を通る時、ガシりと腕を掴まれて上へと引っ張られた。
「自分の誤ちをその身体に叩き込んでやる。
謹慎なら丁度いい」
「は、なしてください!」
怖い怖い怖い。
ギリギリと上で握られる腕が痛みを訴える。
「僕は、そんなことしてません!」
今更、弁解など何の意味をあるのだろう。
はなからこの人が僕の言うことを聞いてくれないことはわかっているのに。
たとえそれが真実でも。
「黙れ。来い」
「行ってらっしゃい遥。あなた、ほどほどにね」
笑いながら手を振る母さんに、恐怖を覚えた。
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