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緊急会議
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遥がまだ列車に乗っている頃。
桜月直人は生徒会室への廊下をつかつかと歩いていた。
生徒会室へ資料を届けるために。
「失礼します。…会長?」
だがそこには目的の人物はおらず、風紀から手伝っている双子だけが黙々と作業をしていた。
2人がこちらを向く。
「会長なら、1週間くらい家に帰るって言ってたよ?」
「聞いてなかったのか?」
聞いてなかった。
会長からそんな報告は受けていない。
委員長は知っているのだろうか?
わかりましたと返事をして、風紀室に戻る。
風紀室にはちゃんと委員長がいて、その前まで歩み寄る。
「会長が家の方に帰っていたこと、知ってました?」
会長と言った瞬間、ピタリと手を止めてこちらを向いた。
「鈴原なら昨日大原に手を出して謹慎中のはずだが」
「は?……、あんた会長がそんなことする人だと本当に思ってるんですか」
思わず低い声が出てギロリとと睨むとそっぽを向きながら「仕方ないだろう」と言った。
その姿に、どうしようもなくムカついた。
「会長と何があったか知りませんけど、なにを拗ねてるんですか」
その言葉に委員長はバッとこちらを振り向き、俺をにらんだ。
「口を謹めよ直人」
そんなもの、今は全く怖くない。
「少しでます」
バタン!と、わざと大きな音を立てて扉を閉めた。
その後、桜月直人は走っていた。
「失礼します!」
保健室に。
突如現れた桜月に薬品を整理していた二ノ宮先生は驚く。
「会長が謹慎って、本当ですか」
「あー、今朝理事長から聞いた」
「けど、会長家に帰ってますよ」
「は?嘘だろ?」
こんな時に嘘など言って何になるのか。
なぜそんな難しい顔をするのか。
いやでもなんとなく想像はできる。
「何かまずいことでも?」
詰め寄ると、誰にも言うなよ。鈴原もそれを望んでないだろうからなと話し始めた。体育祭での事を。
「なんて事だ……」
先生から告げられた鈴原家の実体と、その後の委員長とのやり取りに衝撃で言葉が見つからなかった。
「じゃあ、もし謹慎通知が家の方に行ってたらまずいんじゃ……!」
それだ、と先生は言う。
「とりあえず、1週間なんだろ?
1週間待って、何かあれば乗り込もう」
「それ大丈夫なんですか?」
「そこは"二ノ宮"を使うさ」
勝手だけれど、今はそれが一番良策だ。
「委員長は、どうします?」
「ほっとけ。今のあいつには何も出来ねぇよ」
「…ですね」
とりあえず、1週間待ってみなければ何も出来ない。
最悪な事態にならなければいいが、と2人は思った。
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