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開く扉
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目は覚めたけど、ずっとベットで横になってる。
今日はまだ、誰一人として部屋に入ってきた人はいなかった。
「1週間」
天井を見ながら、ぽつりと呟く。
もう1週間なのか、まだ1週間なのか。
僕にとっては確実に後者だった。
何時からか置いてあった時計、もう午後4時を指していた。
今日はどちらだろうか。
父さん?それとも、佐々木さん?
または、どちらも、か。
耐えれると思っていた。
謹慎中の間だけ、と。
けれど、思ってた以上に僕は強くなくて、
今ひたすら思うことは助けてほしいだった。
そんなこと、叶うはずもないのに。
また目を閉じて眠ろうかとしていた時に、カチャリと扉が開く音がした。
「遥。あなたにお客様みたいよ」
お客様。
この部屋に入ってくる人で、母さんがそう呼ぶ人はきっと、佐々木さん。
「……っ、で、…す」
声にならない声でそう言うけれど、母さんには伝わらなかったみたいで首を傾げながら「お通しするわね」と言われた。
母さんがまた去っていくのを、絶望的な気分で見送る。
数分後、カチャリと扉が開く音に体が強張る。
逃げられない。
そうわかっていても、逃げたいと心が言ってる。
コツ、と入ってきた人の顔は見れないで、フルフルと震えながら後ずさる。
そのまま真っ直ぐ僕のベットまで歩いてくる音が聞こえ、震えがより一層酷くなった。
相手が、僕の名を呼ぶ前に、僕が口を開いた。
「ぁ……も、……、だ」
やっぱりその声は音になってはいないけれど、目の前の人の雰囲気が変わるのを感じた。
ふっと優しく肩に手を置かれたのに、ビクッと体を揺らすと、「っすみません」
と返ってきて、その声に初めての顔を上げた。
「さ、……きく、、……な、…で」
桜月君、なんで…?
そういった。
言えなかったけれど。
目の前に立っていたのは、1週間前まで僕が来ていた制服を着た桜月君だった。
なぜ、彼がここにいるのだろうか。
「お久しぶりです、会長。1週間って、長いものですね」
少しだけはにかみながら、そう言った。
そして続けて、
「会長、もしかして、喋れません?」
と言った。
僕はコクンと頷くと、「これは、もう確定ですね」と僕には意味のわからないことを言いながら、背を向けてどこかに電話をかけた。
「俺です。…、煩いですね。
会長の事ですが、、はい、確定でいいと思いますよ。ーーーー、見に来たらどうですか。
そこから上に2階上がった一番奥の部屋ですよ。ー嫌ですよ面倒くさい。
はい、わかりました」
誰にかけたのかわからないけれど、結構気さくに喋れる相手らしい。
最後頷いて、僕と向かい合う。
すると、桜月君はそのまま持っていた携帯を僕に渡した。
「そのままじゃ不便だと思うので使ってください」
有難かった。
ありがとうと、打つと、「いえ」といつもの笑顔で笑ってくれた。
その時バンッッ!!!と扉を壊す勢いで入ってきたのは、
「1週間振りだな、鈴原」
少しだけ息を切らした二ノ宮先生だった。
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