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やっちゃった
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「やぁやぁ、君が遥くんだね!
話はいろいろ聞いてるよ、一度会って見たかったんだ!ね、母さん!」
「えぇ、まぁこんな可愛らしい方だとは思わなかったわ。
そうだわ、私の新作、試してみない?」
父は二ノ宮財閥総帥。
母は世界で前代な人気を誇るブランドの有名ファッションデザイナー。
2人とも、日本を代表する人達だ。
それが、二ノ宮君のお父さんと、お母さん。
「……」
予想外のその雰囲気僕は圧倒されてしまった。
「親父…こいつ困ってるから…」
この時ばかりは、先生のフォローに感謝した。
「おっと、ごめんよ。ついつい癖でね」
「いつか新作も試させてね」
ふふふ、と交じりにしわを寄せて笑う二ノ宮父と、ほっこり笑う二ノ宮母になんだか暖かくなってくる。
『こんな感じですみません。
鈴原遥です。二ノ宮君と、先生にはいつもお世話になってます』
声に出せないのがなんとももどかしいけれど、そんな事はどうでもいいというように二ノ宮父母は笑う。
「おいおい母さん、お世話になってるのは確実に真人のほうだろうに、遥君は優しいんだねぇ」
「嫁に欲しいわねぇ」
「……」
だめだやっぱりついていけない…。
「親父、…ほんと、」
「まあそう慌てるな真人。禿げるぞ」
「ぶっ」
サラリととんでも無いことを言った二ノ宮父に、隣の桜月君が吹いた。
僕も耐えたことは、内緒だ。
でもまぁ、と言う。
「面倒なことはさっさと済ませた方がいいだろうね」
さて、と。
改めて二ノ宮父母が僕に向き直る。
まとった雰囲気は、社長のオーラが漂っていて、やっぱり凄い人なのだと思い知らされる。
「話は大体聞かせてもらってるよ。
それでなんだがね、あそこに未練はあるかい?」
それは、僕が鈴原に未練はあるのかということ。
『ありません』
少しだけ、気になるかと言われたら気になる。
けど、戻りたいかと言われれば答えはNOだ。
そうか、となぜかホッとしたような二ノ宮父。
「いやぁ、話を聞いた後ね、私もなかなか頭にきて……鈴原の取引先全部買い取っちゃった」
てへ、とでもつきそうな笑顔でいう。
先生も、二ノ宮くんも唖然としている。
てっきり、全て買い取ったことにだと思ってたんだけど……
「早すぎだろ」
「強引すぎだろ」
どうやら次元が違うらしい。
けれど、取引先を買い取られた、と言うことはもう鈴原に商売相手がいないということになる。
つまり、
『倒産…』
もうこの世界にはいられないということ。
「やっぱりショックかい?」
『ショック、ではないですけれど…
父さ、……あの人たちはどうなるんでしょう?』
うーん、と困った顔をする二ノ宮父。
「君がいいなら警察に突き出すが」
みんな、僕の顔を見る。
『警察…』
あぁ、と。
「私の知り合いがいるんだよね。
報道とか一切なしでやってもらうけど、それは遥くん次第だね」
「お前が決めろ、鈴原」
『恨んでる、って言われれば曖昧なんですけれど…反省くらいは、して欲しいとは、思います…』
もう僕みたいな子が出ないように。
「決まりだな」
よし、と。
「後のことは私達大人に任せなさい。
そうだね、子供は子供で遊んで来なさい」
遊ぶ?
ほら、と立たされて二ノ宮君と、桜月君の3人で部屋を出される。
『あ、ありがとうございました!』
頭を下げればぽんぽんっと頭を叩かれた。
「また夕食でね」
ヒラヒラと手を振る二ノ宮父母に、もう一度深く頭を下げた。
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