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愛されている
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「遥くんは、どうしようか」
「、?」
あの後散々泣いて、その間二ノ宮君はずっと僕を抱きしめていた。
怖くなくなったわけじゃないけれど、僕が離す力よりも強く強く抱きしめていた。
それが、どことなく安心感を抱いていたことにはまだ気づかなかったけれど。
しばらくして呼ばれた夕食では目が真っ赤に腫れていたけれど、二ノ宮君のお母さんはそれ見てフッと優しく笑って「さぁ、夕食にしましょう」と言った。
そして少し経った時に二ノ宮くんのお父さんがそう口を開いたのだ。
「夏休みはずっとここにいればいいけど」
あ、決定なんだ。
「その後は施設に届けるわけにはいかないだろうし…」
そんな事まで考えてくれて、とても申し訳なくなった。
そんな僕の顔を見て、
「んな顔すんな。気にしなくていいから」
と先生が言ってくれた。
コクンと頷くと先生は笑った。
その問題に解決策を出しのは桜月君。
「それなら、さっき連絡があったんですけど……、お世話なら、鈴原家の執事達が行いたいそうです。「遥様には、たくさん気をかけてくださって、お世話になったんです。だから、遥様がお困りなら私達が力になりたい」と」
いい人達ですね、と僕に笑いかける。
僕は僕で感動していた。
優しい人たちだと思っていたけれど、
自分達が仕えている人が彼らから言えば裏切られたのにそんな事まで言ってくれるなんて…
「あと、…これは本人の意思も必要ですが多々良さん?が、引き取ってもいいと」
「わぁお」
それには驚いた。
問題が起こった親のその息子を引き取るなんて、並の覚悟ではないはずだ。
「遥くんは、愛されてるんだねぇ」
本当に大切にしてくれてる人は、身近にいた。気づかなかっただけで。
また泣きそうになって、グッと我慢する。
「私が貰っても良かったんだけど…」
どうする?と、僕に問いかける。
どちらも凄く嬉しい。
けれど、迷惑がかかるんじゃないか。
困らせることだって、きっとたくさんある。
俯いた僕の頭に、隣に座っていた二ノ宮君がポンっと手を置いた。
抱きしめられた時から、二ノ宮君への震えはだいぶ小さくなった、
「迷惑だと思ってたら、引き取るなんて言わねえよ。
それに、大切に思ってたら迷惑かけられることも嬉しいもんだぞ」
「ヒュー。よくそんな事言えるようになったよな。親でもないのに。それとも、実話か?」
ニヤニヤと二ノ宮君を見る先生が、次の瞬間「ぐえっ」と呻いた。
「空気読んでください。大人気ない」
どうやらテーブルの下で桜月君が先生の足を踏んだらしかった。
二ノ宮君のお父さんお母さんの気持ちは嬉しい。
けれど、多々良さんは僕によくしてくれてた人だ。
『お気持ちはとても嬉しいです。
けど、多々良さんに、お願いしてもいいです
か。』
と、伝えた。
僕なりに考えたつもりで。
みんな、笑って了承してくれた。
「でも私のことはお父さんって呼んでいいよ!パパでもいいぞ!」
「あら、私のことはお母さんでもママでもいいわよ?」
「え、なら俺お兄ちゃんじゃね?」
「なら俺はどうなるんだよ」
「……あんたら…」
二ノ宮DNAはみんな一緒らしい。
ため息を吐いた桜月くんに思わず笑いが漏れた。
明日、多々良さんが挨拶に来ると連絡があった。
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