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勝者の特権
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「つ、めた…」
なんとか日焼け止めも塗って、みんなの視線に少しだけ耐えられるようになって。
僕は本来の目的である海に足を向けた。
足首だけつければ、冷たくて、ひんやりしてて気持ちいい。
ちなみに二ノ宮くんのお母さんから
「そのパーカーも特殊な生地だから、濡れちゃっても大丈夫だからね!」
と、僕が聞く前に言われました。
ぱちゃぱちゃと、足を動かす。
綺麗な海で、気持ちもよくて、自然と口角が上がる。
「気持ちいいなぁ」
海の深いところでは、二ノ宮くんと桜月君と先生が競争している。
それを見て、またふと笑いが漏れた。
「母さん母さん」
「なぁに?あなた」
「あれは天使かな?」
「そうね、天使ね」
「真人もヘタレだなぁ」
「まぁ誰に似たのかしらね」
パラソルの下で、二ノ宮夫妻がニコニコと手を振っていて、何だろうと思いながらも、振り返した。
「俺の勝ちですね」
「まじありえねー」
「手加減しろよな…」
それから少しして。
競争していた3人が戻ってきた。
どうやら、勝ち誇ったような顔から勝ったのは桜月君らしい。
「会長、見てました?」
「うん。楽しそうだったね」
「じゃあ、行きましょうか」
「ん!?」
せっかく浅瀬へ戻ってきたというのに、桜月君は僕の手を引いてまた海へと入っていく。
後ろから2人も来てて。
腰までつかっちゃったけど…
「まっ、まって!ぼ、僕泳げない…」
僕の手を掴んでいた桜月君の手を、空いている手で掴む。
そりゃ人並みには泳げるけれど…終始足がつかないのは、ちょっと…。
戻ろうとしていると、頭からバフッと何かを被せられた。
「う、浮き輪?」
「運動苦手な奴が泳げるかよ」
多分それは、体育祭の時のこと。
二ノ宮君に運動が苦手とバレたことを、言っているらしい。
覚えてて、くれたんだ。
なぜだか、少しだけ嬉しかった。
海の中で遊んだ、というか、遊ばれた後、ビーチバレーをしようということになった。
「じゃ、ペアは俺と会長対委員長と先生でいいですね」
俺さっき競争勝ちましたし、と桜月君はいう。
「え、でも僕あんまりできないよ…」
「俺が会長と組みたいだけですから」
笑って、なぜか二ノ宮くんの方を見た。
「ねぇ、委員長?」
「別に」
なんでだか少しだけ不機嫌な二ノ宮君。
まぁ、結果は惨敗でした。
主に僕のミスで…。
「ほ、本当にごめんね、桜月君!」
「いや、楽しかったですよ」
桜月君は優しい。
暑さもあり、疲れたから一度みんなでパラソルに戻ると、二ノ宮夫婦がお茶を出してくれた。
そのまま、ゆったりしていると、久々にこんな動いたせいか、睡魔が襲ってきた。
気づけば寝ていたようで。
けれどとても気分が良かった。
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