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会長という立場
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今日から学校が始まる。
夏休み帰省していた生徒も全員学園に戻ってきて、始業式のために体育館に集まっていた。
生徒会役員の席には、僕と双子。
風紀委員の席には、二ノ宮君と桜月君が座っている。
けれど、二ノ宮君の隣には大原君もいた。
容姿が変わっている彼にみんなは戸惑いを隠せていないけれど、美形だから何か言われることはない。
むしろ見とれている生徒すらいるのだ。
始業式といえば、会長からの挨拶というものはあるもので。だんだんと迫ってくるそれに、緊張感が募っていく。
チラチラとこちらを見てくる者は、きっと何かしらの事情を知っているのだろう。
こ、心当たりが多すぎるけど……。
「会長挨拶」
放送委員の司会者からそう告げられ、緊張したままステージへ上がる。
ザワ、と揺れた体育館を上から見下ろすと、戸惑いと、疑いが映る目が僕に向く。
それに気づかぬふりをして。
「2学期は文化祭もありますし、楽しんでいきましょう」
最後にそういうと、ステージを降りようとした。
「あんたなんで会長やってんの?」
そう聞こえたのは、その時。
多すぎる人数。
誰か特定なんかできないけれど、敵意むき出しの声に、少し怯んだ。
「どういう、意味でしょうか」
「謹慎なったんでしょー?そんな奴が会長でいいのかよ」
「よくのうのうと出てこれたね」
「恥ずかしくねーの?」
1人が言ったら、次々と他の人へと広がっていく。
「それ、は……」
みんなが言うことは全て事実だ。
何一つ、間違ってない。
視界の端に捉えた実が半泣きでこちらを見ている。
あぁまた僕は。
可愛い顔をあんな歪ませて。
「僕は…」
「はじめから誰もお前なんかに会長やってほしくねーっつーの」
「っ、」
そりゃそうだ。
僕だってそんなつもりなかった。
二ノ宮君だって、思ってた。
けれど今その言葉は辛い。
せっかく決意したのに。
「そこまでだ」
「っ、二ノ宮君…」
「それはもう解決した。文句がある奴は出てこい」
助けて、くれたのだろうか。
それとも風紀としての仕事だろうか。
押し黙った雰囲気の中、別の声が聞こえてきた。
「つまり、バレないとこでやれってことだな」
「大原っ!」
大原、と言った瞬間ザワ、と揺れた。
あのマリモ転校生だとは思ってなかったらしい。
席に戻ると、双子から「あまり心配するな。何かあったら守る」と言われた。
素直に嬉しかった。
「何を言うんだ大原」
「さっきのはルール違反だよ、真人」
腕に絡みついたまま上目遣いでこちらを見てくる大原。
確かに可愛いが、俺は、俺にとっては……。
「約束破ったらどうなるかわかってるよね?」
「……あぁ」
俺は、どうすればいい。
なぁ、鈴原………。
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