アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
キレる 桜月side
-
「さて、と」
目の前で買ってあげた飲み物を持ち、ニコニコしている大原を見る。
「その笑顔も芝居なんですか?」
一瞬キョトンとした大原は、その後ニヤリと笑った。
「気づいてたんだ。
へぇ、じゃあ真人と俺を離れさせたのも計算?」
なるほど、これが素か。
アンチめ。だから嫌いなんだよ。
総受けなら総受けらしく純粋に総受けしろよ。
「でも無駄だよ。真人は俺のものだから」
ふふふ、と笑う大原の笑顔は会長とは全然違う。
「たとえあいつが何かしても、真人は何もできない」
なんて、気持ちの悪い笑顔。
ピタリと足を止め、大原の前に立ち行く手を塞ぐ。
正直、大原を連れ出したのは会長を気遣う半分。
半分は、大原と話をするためだ。
「委員長に、何をしたんです?」
あの俺様でヘタレな委員長にあんな顔させるなど。
「別に?ただ俺と付き合ってって言っただけだよ?」
首を傾げてみても可愛くなどない。
それに、俺が聞きてるのはそんなことじゃない。
「委員長に何をしたか、って聞いてんだよ」
雰囲気が変わったことに気づいたのか眉を少し動かしながらも、大原は変わらず続けた。
「俺と付き合わなきゃ、遥に悪戯するぞって言っただけだよ」
あぁやっぱり。
委員長を脅してたのか。
「今すぐ撤回して下さい」
そう言うと、大原は眉根を寄せた。
「あぁもう、お前ウザいなぁ」
お前に言われたくないわ。
「伯父さんに言うよ」
イラ、としたのは気のせいではないだろう。
いやむしろイラっとしなきゃ人間としての感性を疑う。
「やってみろよ」
いつもの敬語なんて、忘れていた。
売り言葉に買い言葉。
もっと冷静にならなければいけないのに、つのるイライラで後先考えず言葉が走る。
「じゃあ、遥に近づいたら…」
「俺を脅すって?
はっ、いいぜやってみろよ。
悪いがあのヘタレな委員長と違って俺はお前のいいなりにはならねぇよ」
その前に、大原家を潰してやる。
「お前もアイツに騙されてるんだ!! 」
騙されている?
構うものか。
それでも助けると決めたのだ。
「だから、少し泣かせてやらないと駄目なんだ!」
今までで一番頭に血が上ったかもしれない。
気づいたら、ガッと大原の胸ぐらをつかんでいた。
「ふざけるなよ」
泣かせてやらないとだと?
お前のせいで会長は何回泣いたと思ってる。
「お前のせいで、会長は苦しんでいるんだ」
くそ、もっと冷静になれ俺。
上がっても良いことはない。
冷静に考えろ。
「アイツはまだ笑って真人の所に来れるんだぞ!?反省なんてしてない!」
グッとさらに強く大原の胸ぐらを掴む。
笑って?
あれが笑顔に見えるのかコイツは。
俺は、泣いているようにしか見えない。
「黙れ。それ以上言ってみろ」
「どうするの?」
「は?」
「もっと言っら殴る?蹴る?伯父さんに言いつける?
いいよ、すればいい」
こいつ。
何を考えているんだ。
アンチのくせに。アンチのくせに。
「せいぜいアイツから離れないことだね。
何があるか、わからないから」
ニヤリと笑った大原にゾクリとした。
狂ってる。
元からか、委員長のせいか。
「気をつけて」
クスリと笑って言った大原に、嫌な予感がよぎる。
あぁ、こういう予感は大概当たる。
今回だって…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
109 / 256