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止めだ 二ノ宮side
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大原と風紀委員室にいて。
だんだんと近づいてくる足音に、顔を上げた。
「おお、…蓮、また何かしたのか」
「酷いなぁ、真人。俺だって決めつけないでよ」
クスクスと笑う大原。
「アイツには、何もしない約束じゃなかったのか」
俺と付き合ってと、言われた。
断ったら鈴原に手を出すと。
「今回はアイツはじゃなくて、直人の方だけどな」
直人?なぜ?
「脅してみろよって言ったんだよアイツ。わぁお、男前〜」
それを聞いて、俺はギリ、と唇を噛み締めた。
直人は、直人も脅されそうになった。
けれどそれに屈しなかった。
俺は?
俺はどうだ。
なんで、こんな奴のいいなりになってる。
鈴原を守るんじゃなかったのか。
「蓮、やっぱり…」
やっぱり止めよう、と言おうとしたところで。
ダンっと扉が乱暴に開け放たれた。
そこにいたのは理事長に呼び出された直人で。
はぁはぁと息を切らしながら、俺と大原をにらんだ。
「どうしたの?遥は?」
クスクスと笑う大原はきっと、わかってる。
「…謹慎、だそうです」
「は?」
声を出すと、直人は俺を睨んで近づいてきた。
「確かに、今回は俺が悪いです。
けど、あんたのせいですよ」
鈴原を守るためのはずだった。
なのに、どうだ。
俺は鈴原を守れてるか?
また、俺の知らないところで泣いてるんじゃないのか?
「いつまで低レベルな脅しにしたがってるつもりですか!
会長に何かあったら?
守ればいいでしょ!あんたが!」
直人がここまで怒鳴るなど。
鈴原が俺の家に来た時くらいで。
つまりそれは、直人がここまでキレるということは。俺は鈴原を苦しめているということで。
けど、鈴原に何かあったら…
「ちょっと直人、変な言いがかりやめてよ。真人は何もしてないでしょ?」
「えぇ、何もしてないですよ。あなたのしてることは、全然会長のためじゃない」
けど、もしまた鈴原が傷ついたら?
また抱え込んでしまったら?
あんなに儚く、消えそうなのに。
「言っときますけど。委員長が思ってるより、会長は強いですよ。
確かに、俺らより弱いかもしれない。
いや、俺らより強いかもしれませんね。
辛い時も笑って大丈夫だと言えるくらい、あの人は強い」
会長にとって、という。
「委員長が抱え込んでるほうが辛いでしょう」
その気持ちなら、わかりますよね?
と。
ー君を想っててもいいかなー
あいつはこの前、俺を好きだと言った。
それに俺は、自惚れぬよう、みんな好きなのだと返した。
俺の好きと、あいつの好きは違うと。
けれどアイツは顔を真っ赤にして違うといった。
俺の望んだことなのに。
それを拒否するのがどれだけ辛いか。
「また同じこと、繰り返す気ですか」
「っ!」
誓ったんだ。
もう同じ過ちはしないと。
鈴原を、苦しませないと。
「何言ってるかわかんないけど。
真人には関係ないことだよね」
スルリと俺の腕に巻きついてくる。
あぁ、なんて汚らわしい。
それをパンっとはじいて。
「直人、理事長室行くぞ」
「!、はい!」
「真人!いいの!?」
「……悪いが。俺は鈴原が好きなんだ」
好きな奴の傍にいられないことが、一番辛い。
委員長、と隣で呟いた声が聞こえた。
「あぁもう、本当ムカつく!
壊してやる!遥なんて、壊してやる!」
無視をして、扉を閉めた。
壊す?上等だ。
俺があいつを、守ってやる。
たとえ、もう俺のことを好きじゃなくても。
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