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俺を好きになれよ
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僕の、あの日からの日課。
上野くんがと仲良く?なった屋上の日からの。
それは、毎日昼休みに屋上に行くこと。
「ごめん、待たせちゃった?」
今日もいる不良。
「いつも思うが、謝る必要なくね?」
「そ、そうかな…?」
あの日のことを出したら、めちゃくちゃ怖い顔してそれ以上言うなという。
正直、泣きそうでした。
ちょっとだけ、ほんとちょっとだけ。
何かあったときに、使えるかな、なんて。
思ってたり思ってなかったり。
「今日」
「んっ?」
いたらぬことを考えていたせいか、話しかけられた時は少しだけ焦った。
「機嫌、いいな」
「え、いや、そんなことない…と思う…」
「この前は泣きそうなツラしてたくせに」
「え、そ、そんなに!?」
「さすがに焦った」
「うわ、」
「別にいいけど」
「ちょっ、!」
綺麗な顔を笑わせて。
くしゃりと僕の頭を撫でた。
は、恥ずかしいって…。
「蓮は…、委員長サマと付き合ってるんだってな」
普通に明るい。
けれど、大原君の話をするときだけ、ほんのすこし暗くなる。
「そう、みたいだね…」
その話をされると心がチクリと痛む。
もう知ってる感情。
「2人とも幸せならいいんだけど」
けれど、届くことのない感情。
「……、説得力ねぇー」
ため息をつきながら、そう言われた。
「な、何で…?」
「お前、委員長サマのこと好きだろ?」
「えっ、」
「うわ、すっげぇ赤くなったし」
「ち、ちがっ」
「なんで否定すんだよ」
好きなくせに、と。
「でも、もう遅いし…」
「俺たち揃って失恋仲間ってか?だせー」
「ダサいって…」
けど、と上野くんは僕を見る。
「俺はもうほとんど吹っ切れたぞ。
お前のおかげ、だけどな」
僕はそんな大層なことしてない。
ただ、毎日話してグダグダするだけ。
「だから、お前も委員長サマのことなんて忘れろよ」
苦しいだろ、と。
確かに苦しい。
辛い。
けれど、初めて知ったこの気持ちをもう少しだけ大事にしたいんだ。
「うん、ありがと。だけど、もうちょっと見ていたい、なんて…」
「うわ、一途かよ。もったいねぇ」
泣くか?と、眉を上げながら聞きてくる。
「ううん。もう、たくさん泣いた」
二ノ宮君の幸せを願うのに、僕が泣いてたら意味がないから。
「そうか」
「うん」
案外、この素っ気ない空気が好きだったりする。
「よし決めた」
いきなり膝を打って上野君は立ち上がった。
「勿体無いことしたってあの委員長サマに思い知らせてやる」
ニシシ、と悪戯っ子のように笑った上野君。
ファンの方が見たら鼻血ものだと思います。
「何する気なの」
また悪いことを思いついたなーと、笑って僕も立ちあがる。
「落とす」
「ん?」
「お前を落とす」
「え、ここから?」
それは怖い。
「ちげぇ」
あー、と上野くんはガシガシと頭を掻いた。
「俺のこと好きにさせる」
え、なんで?なぜに?
「いや、ちょっと意味が…」
「吉と出るかな、凶と出るかな」
俺にとって、という。
「吉がいいよなぁ、やっぱ」
「ほんとごめん、意味が…」
「俺にとって凶でも、お前にとったら吉なんだろうな」
本当に意味がわからない。
え、どういうこと?
「だから、俺を好きになれよ…鈴原」
上から見下ろされながら。
すごく綺麗な顔で言われました。
初めて名前を呼ばれた。
そのことに驚いたこととは別に。
僕の頭は混乱していた。
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